スペシャルインタビュー

キーパーソンに訊く「IFA 2006 の魅力」


メッセ・ベルリン社COO/クリスチャン・ゲーケ氏
メッセ・ベルリン社インフォメーション・コミュニケーション 統轄本部 部長 /イエンズ・ハイテッカー氏


世界最大のコンシューマー・エレクトロニクス展である「IFA2006」が9月1日より6日間に渡り、ドイツの首都ベルリンにおいて開催される。毎年開催決定後、初めての開催となるイベントの見どころについて、メッセ・ベルリン社から来日されたキーパーソンのお二人に詳しくうかがうことができた。 

インタビュー:Phile-web編集部 / Senka 21編集部

 

毎年開催の決定により、さらに膨らんだIFAの魅力とは

編集部 まずは今年のIFA2006開催のご準備にあたって、重要な課題となった事柄と、それらを乗り越えたご苦労についてお聞かせいただけますか。

Dr. Chritsian Goke(クリスチャン・ゲーケ博士)
メッセ・ベルリン社 COO

ゲーケ氏 IFAを毎年開催のイベントにすることは簡単な決定ではありませんでした。このように大きなメッセが、開催周期を変更するという大きな変化は過去25年間なかったことです。毎年開催を決定した後も、多くの企業は2006年の予算を大体決定してしまっている段階だったので、出展がどれ程集まるかが大変気がかりでした。

ところがその結果を見てみれば、たいへん喜ばしいこととに、既に出展スペースの80%について各出展企業様からのお申し込みをいただくことができました。今年の出展内容も必ずやエキサイティングなものになると思います。

編集部 毎年開催決定のアナウンスは、出展企業以外に例えば、国内・国外のマスコミや一般のヨーロッパのコンシューマーの方々にどのように受け止められたのでしょうか。

ゲーケ氏 出展者と専門プレスの方々の反応はとても注視していました。出展企業の皆様からの好反応は先ほどお話した通りですが、専門プレスの皆様にも非常にいい形でこの毎年開催を取り上げていただいています。一般の方々にはプレスを通してお知らせするという方法になります。ベルリン市自体も、今年のIFA開催を非常に喜んで迎えてくれました。市民全体にとって、大きなイベントの歴史的な変化はとても喜ばしいこととして、歓迎いただきました。

ハイテッカー氏 今年もMISS IFAをキービジュアルにした、大型の街頭広告を町中の至る所に掲載してイベントを盛り上げていきます。昨年もイベントのテーマカラーは「赤」でしたが、今年は今までよりももっと強い赤に変えています。またイベントのロゴを変えたことはお気付きいただけましたでしょうか。全体のデザインをより簡素化しつつ、「Consumer Electronics Unlimited」というキャッチを入れることで、日々変化するコンシューマー・エレクトロニクスへの期待を喚起するメッセージを伝えたいと考えています。

ゲーケ氏 今年のIFA2006はリテーラーの方々からも大いに注目されるイベントとなりそうです。最近のリテーラーの方々はより良い製品、より新しい製品を中心に買いつけるため、平均して製品の単価が上がってきているようです。

編集部 それは例えばテレビで言うなら、ブラウン管からプラズマテレビになったりということで起こっていることなのでしょうか。

ゲーケ氏 そうですね。マーケットに従来のものとは一線を画すような魅力的な新製品が出てきました。一時期は新しい技術が入ってきた時に、消費者の方々には「成熟度が高く、しかも価格的にもこなれている従来型の製品を選ぶ」という傾向があり、量販店での成熟商品の売上は下がる方向にありました。それが現在では一般ユーザーの意識も変わり、古くなってしまった技術を採用している製品よりも、最新技術を採用するものを手に入れたいというふうに、欧州市場のトレンドが移ってきたおかげで、平均的な量販店の売上が上がっているようです。その結果として、IFAへの注目度も高まり、それぞれの量販店にとっても非常に意義のあるメッセになってきているということですね。

編集部 先にCEATEC JAPANが開催した記者発表会でも、IFAとCEATECの連携がますます深まっていると感じました。一方でIFAを毎年開催としたことで、同じく世界的なコンシューマー・エレクトロニクスショーである米国のCESとの関係はどのように変化していくのでしょうか。互いはライバル的な間柄となるのでしょうか。あるいはIFAの独自性はどのように際だっていくのでしょうか。

ゲーケ氏 この3つのメッセというのは対象にしているマーケットが全く違うので、決して競合相手であるというふうには考えていません。もちろん、昨今はグローバル化等によってマーケットが入り乱れた形になってきていますので、今後、どのようにナンバー・ワンのポジションを守っていくかというのは、大きな課題ではあります。CEATEC JAPANとの関係については、今後も協力関係がさらに良いかたちで進んでいくことと考えています。

編集部 メーカーの方々にとっても、IFAが毎年開催になったことによってビジネスの面で非常に使いやすいショーになったことと思います。

Mr. Jens Heithecker
(イエンズ・ハイテッカー氏)
メッセ・ベルリン社 
インフォメーション・コミュニ
ケーション 統轄本部 部長

ゲーケ氏 おっしゃるとおりです。毎年カレンダーの予定に「9月はベルリンのIFA」でという形で組み込んでいただけることを期待しています。

編集部 毎年開催になったことによって、ショーの運営や内容決定についてはどのように変わっていくのでしょうか。

ハイテッカー氏 今回はIFA2005終了後、毎年開催を決定してから7カ月しか期間がありませんでした。出展者の方に、果たして予算を確保していただけるのかという点で難しいところはありましたが、その課題は見事にクリアできました。これについてはマーケティングの観点から方からみても、毎年開催であることが出展者の皆様に有効なマーケティングツールとして活用できるイメージをもっていただけたからだと思います。トレンドをいち早く採り入れられる、反応の早い見本市になったということも言えますね。

編集部 IFAの日本での認知度もさらに高まっていますが、今後まだまだそのレベルを上げていく必要があると思います。それについては「ファイル・ウェブ」のIFA日本語サイトの運営も含めて、どのようにお考えですか。

ハイテッカー氏 日本側でのIFAの認知度拡大についてはもちろん大きな課題として捉えています。ファイル・ウェブとの連携についても、IFAからも色々なかたちでサポートをさせていただきたいと考えております。

IFA2006で注目される出展内容とは

編集部 今年は去年のイベント同様、世界中から様々な企業の出展があるということですが、特にお二人がご期待されている、新しい技術や製品に関する出展内容はありますか。

ゲーケ氏 私から、まず最初に挙げさせていただきたいのは、やはりハイディフィニション・テレビです。過去、テレビの画面が白黒からカラーに変わった時、或いは最初にフラットパネルが世の中に紹介された時というのは非常に大きなセンセーションだったと思いますが、“HD=ハイディフィニション”をキーワードにした高品位映像が最終的な消費者にもたらすインパクトは、それらに比肩するほど非常に高いものだと考えます。ハイディフィニション・テレビがヨーロッパ市場に登場するに当たって、非常に大きな関心を呼んでいます。そして、テレビの画面がハイディフィニションとなったことで、とても大事になってくるのがサウンドです。やはり音響効果として、良いものに注目が集まりそうです。

HD DVDとBlu-rayの熾烈な競争も私たちにとって大きな興味があるところです。互いにとって、一番良いパートナーを見つけることができ、良い周辺機器を揃えられたフォーマットが市場に最初に出てきて勝つと考えています。その最新動向についても、今年のIFAで確認いただけると思います。ヨーロッパで、HD DVDとBlu-rayの先端の情報が、最初に市場に紹介されるのがIFAです。ここでどういった反応が出るかというのは、本当に大きなテーマであると思います。

ハイテッカー氏 私はデジタル・モバイルテレビにも注目しています。そのサービスがどういった放送規格によって提供されるか、今回のIFAでは具体的に紹介されるものと思います。携帯電話用のモバイルテレビの規格である「DVWH」による試験放送は、今年開催されたワールドカップサッカーの番組で成功を収めています。またモバイルテレビ専用の規格となる「DVWT」についても新しい動きが見られるでしょう。これらの放送規格には、その他の様々な有料サービスが付属する予定ですが、それらを消費者がどのように受けとめるのかというポイントが、出展企業にとっては非常に興味のあるところです。

編集部 去年のイベント会場では特に薄型大画面テレビにスポットをあて、ハイビジョン対応製品について「HD ready」というロゴマークを採用しながら、ハイビジョン時代の到来について積極的なメッセージを来場者に発信していたことが大変印象に残っています。今年のイベントでは、HDの訴求についてどのように工夫を凝らして行かれるのでしょうか。また、薄型大画面テレビの魅力を際だたせるコンテンツとして、ワールドカップ・サッカーの次に来るものは何であると考えますか。

ハイテッカー氏 欧州市場では720p以上のディスプレイに「HD Ready」のロゴマークを付けてハイビジョン機器の認知度を高めようと試みてきましたが、現在のところこの取り組みは非常に成功したものになっています。液晶テレビの60%については「HD ready」のロゴが入れられ、販売されています。ただ、HD対応の放送というのがドイツではまだありませんので、消費者としては今後の放送開始を見越して商品を選んでいくということになりそうですね。

編集部 ドイツでのHD放送というのはいつ頃からスタートする予定なのでしょうか。

ゲーケ氏 それは大変、重要な質問ですね。現在のところ、ヨーロッパでのHD放送がどのようになってくるかというのは難しいと言えます。アメリカなどではHD放送が積極的に開始されていますが、ドイツではまだ特別に切迫した必要性は考えられていないように思われます。ただ、いずれは導入はされていくものと思います。

ハイテッカー氏 現在、非常に大きなディスカッションが放送業界でも起こっているところです。もちろん、良い製品を買った方は、質の高い放送を望みますので、大きな投資をして放送用機器を取り替えるか、あるいはアメリカなどで放送されているコンテンツを切り替えて用いるだけというふうにやっていくか、その実現方法に関する議論が、いまテレビ放送業界で巻き起こっています。

IFAでは、HD DVDとBlu-rayのコンテンツが初めて欧州市場で紹介されます。ソフトのコンテンツとしては出揃ってきていますので、クオリティーの高い映像に対する、コンシューマーの関心はますます喚起されるものと思っています。IFAの会場で、本当に良質な映像を目の当たりにされた方々は、多少小さめのリビングでも何とかホームシアターをセッティングしてみたいと考えるはずです。IFAはコンシューマーの意識に変革をもたらすことができる、良いチャンスであると考えています。

会場の構成としては、2005年には「ホール26」全体を使って「HDホール」という形で展開し、サッカースタジアム型の展示スペースを設けるなど、工夫を凝らしました。今年は同じ26ホールで、「ホームシネマ」「ホームシアター」をテーマに、ライフスタイルの観点から良質のエンターテインメントを紹介していきたいと考えています。テクニックを見せるというよりは、どういったかたちで次世代のエンターテインメントが生活に入っていくのか、どういうふうにコンシューマーが使っていけるのかといったことを提案していくイメージです。

編集部 最後に日本の業界関係者の方々、出展者と来場者の方々に対してのメッセージをお願いします。

ゲーケ氏 先頃開催されたワールドカップ・サッカーでも、ドイツという国がゲストに対して非常にフレンドリーな国だということをおわかりいただけたと思います。もちろん、今度はスポーツだけではなく、コンシューマー・エレクトロニクス業界でもまた同じように、ドイツがいかにフレンドリーな国であり、エンターテインメント性の高いショーを提供することができるかを知って頂きたいと考えています。ぜひIFAを使って色々な情報を手に入れ、見識を深めていただきたいと思います。