IFA2017にはどんな製品やテクノロジーが集まるのか?キーマンが予想する今年の展開

今年もIFAのプレイベントであるグローバル・プレスカンファレンスが開催され、秋本番「IFA」の改革プランが発表された。今年はコンシューマーエレクトロニクスのテクノロジーにさらにフォーカスした新しい試みとなる「IFA NEXT」がスタートする。これにともない、本会場のメッセ・ベルリンのホールレイアウトも様変わりするようだ。新しいホールには欧州の元気なスタートアップ企業も数多く出展することが見込まれているという。

グローバル・プレスカンファレンスの会場にて、メッセ・ベルリン社のIFAグローバル統轄本部長、イエンズ・ハイテッカー氏が日本人記者によるグループインタビューに答えた。今年のIFAの改革プランに関連する詳細はグローバル・プレスカンファレンスで開催された記者発表会のニュースもあわせて参照してほしい。

インタビューに応えるメッセ・ベルリン社 IFAグローバル統轄本部長 イエンズ・ハイテッカー氏

── 今年はメイン会場であるメッセ・ベルリンのホールレイアウトが大きく変わると言われているが、具体的に何が変わるのか。

ハイテッカー氏(以下敬称略):昨年のIFA2016ではじめて、OEM/ODM系の出展社をメッセ・ベルリンに隣接する会場に移して「IFA Global Markets」を併催した。かねてよりIFAに参加したいという多くの声に対して、IFAの展示エリアを拡張するための試みだったが、初めてのチャレンジが成功したことから、今年はGlobal Marketsのポテンシャルを確信して、よりOEM/ODM、コンポーネント関連の出展社をGlobal Marketsの会場に集中させたいと考えている。別会場の展示エリアも20,000平米に拡張する。

IFA Global Marketsは今年もメッセ・ベルリンから離れた別会場で開催。規模を拡大する。メイン会場はエレクトロニクスのブランドを集める

代わりにメイン会場にはスペースが生まれる。ここに大・中・小、様々なエレクトロニクス関連の「ブランド」を集める。なぜなら、本会場には多くの一般来場者が集まるから。彼らが期待していることは、IFAに集まるエレクトロニクスのブランドが出展する商品とサービスだ。それをシンプルに、来場者が見渡すことのできるショーにしたい。

直近の10年間を振り返ってみても、著名エレクトロニクスブランドの成長がIFAのグローバル化を後押ししてくれた。当社のCEOも、今年のIFAの見どころは「スタートアップ」と「先端テクノロジー」であると語っているが、多くのイノベーティブな製品、あるいは技術を武器とする新しいブランドを世の中に送り出すこともIFAに与えられた使命と考えている。

── 新しく出展するブランドなどはあるのか。

ハイテッカー:まだ具体的な名前を申し上げることは控えたい。いま大小、様々なブランドがIFAに出展する手応えを得て、継続的に出展してもらっている。その声が広がって、様々な分野、規模のブランドがIFAに出展を希望している。いただいている参加希望を受けて、ブースの配置やスペースの確保にIFAの運営チームがいま奔走しているところだ。

── 「IFA NEXT」はどんなホールになるのか。

ハイテッカー:ここ数年来、強くプッシュしてきた研究・学術機関、スタートアップが多く出展する「IFA TecWatch」をこちらに移す。キーノートスピーチや、プレスカンファレンスを実施するスペースも、昨年まで実施していたCityCubeからこちらに移動する。

もともとホール26はサイズが大きいので、多くのブースを配置するスペースもある。スピーチが実施される講演席の周囲を取り囲むように、スタートアップのブースを配置する。ジャーナリストやビジネス来場者が、カンファレンスホールに向かうまでに多くのイノベーティブな製品や技術を目にできる機会をつくる。「IFA NEXT」をクオリティの高いイノベーションセンターに育てたい。

IFAの展示ホールがレイアウトを一新。イノベーションセンター「IFA NEXT」がはじまる。IFA TechWatchやキーノートイベントがHall 26で集中開催される。

── どんなスタートアップがIFAに集まるのか。

ハイテッカー:コンシューマーエレクトロニクス関連のスタートアップであることを大まかな基準としたいが、いまやエレクトロニクスのカテゴリー区分はボーダーレス。オープンな形にして、色々面白い出展が集まることを期待している。IFAへの出展はそれぞれ関心を持っている企業から個別に申込みを受けることもあるし、国によって、あるいはジャンルによってはスタートアップを組織する団体もあるので、彼らとコンタクトを取って参加を呼びかける場合もある。

いま色々なイベントでスタートアップは注目されているが、IFAがひと味違うのは、メイン会場であるメッセ・ベルリンに集まったメジャーブランドや、彼らの出展に期待して集まる来場者と、スタートアップを結びつける「IFA NEXT」の仕掛けがあることだ。彼らは自身のイノベーティブな製品や技術について、IFAを活用することでより広く、沢山の人々に知らせることができるだろう。IndiegogoやKickstarterと、クラウドファンディングのプラットフォームと協力していくことも有り得るだろう。私たちの側はいつでもウェルカムだし、オープンに構えているつもりだ。

実際にIFA NEXTにスタートアップが出展するスペースにはふたつの種類がある。ひとつは6日間の開催期間中1日単位で出展社が入れ替わる日替わりブースと、6日間フルで出展するブース。このスタイルは昨年のIFA TechWatchから実施してみて、ジャーナリストの方々にも足を運ぶたびに新たな出展社と出会えると好評だ。

── CESやMWCではスマートカーのソリューションも注目されている。車業界の出展社も増えているようだが、IFAはどうか。

ハイテッカー:こう言ってしまうこともためらわれるが、今のところメッセ・ベルリンは常にオーバーブッキングに悩んでいる。大がかりに車業界の出展を呼びかけることは難しいし、他業種のトレードビジターに参加を促すことにも力を入れる余力がない。それよりも従来通り、エレクトロニクス業界の発展に力を尽くすことが先決と判断している。ただ、今後5年の間に業界が大きく変わることも十分にありえると考えている。可能性を否定するつもりはない。

── IFA Global Marketsを“欧州最大のソーシングショー”にすると、CEOのゲーケ氏が発言していた。どんなイベントになるのか。出展社の顔ぶれは。

ハイテッカー:OEM/ODM、コンポーネント系の出展社を集めて、トレードショーとしてだけでなく、ネットワーキングの場としてもクオリティの高いショーにしていく。期間中はメッセ・ベルリンからシャトルバスも頻繁に走らせるし、公共交通を使っても簡単にアクセスできる会場だ。IFAのメインホールとともに効率よく回れるイベントになるだろう。

出展社については、こちらもエレクトロニクスに関連する様々な分野から集まってくると予想している。主催社である私たちが、出展条件のようなルールを決めることはない。クオリティの高いイベントになるようフレームは用意するが、内容については自由な成長を促していくことが私たちの役割だと思っている。ホールサイズは昨年よりも拡張する。

── ハイテッカー氏自身は、今年のエレクトロニクスのトレンドをどのように予測しているのか。

ハイテッカー:ふたつの目立つ傾向があるとみている。ひとつは「コネクトデバイス」が成熟するとみている。数年前から「コネクテッド家電」はもてはやされてきた。インターネットにつながって、新たな価値を生み出す家電のこと指しているが、既に多くのエレクトロニクス機器はコネクトされている。テレビはもはや単なるテレビではないし、インターネットを経由して様々なサービスとつながっている。デバイスはもう準備ができている。次はコンテンツが成長する段階だ。“もの”軸から“こと”軸へ、ライフスタイルが進化を遂げるとみている。

「AI(人工知能)」というトレンドワードが注目を浴びていることも確かだ。IFAにはこの分野をリードするトップ企業が出展していないことを指摘する声もあるが、でも一方で既に昨年のIFAでは、B/S/H(ボッシュ・シーメンス)が独自のAI技術を搭載したホームロボット「マイキー」を業界に先駆けて出展していた。コンシューマーに最も近いAIの最新テクノロジーは、IFAに足を運んでこそ出会えるのだということを強調しておきたい。

── 昨年から始まったIFAの姉妹イベント「CE China」は好調か。

ハイテッカー:昨年はこのグローバル・プレスカンファレンスに続けて、初のCE Chinaを開催した。BtoBのイベントとして船出したイベントだが、今年はコンシューマー・エレクトロニクスのブランドにも注目され、出展社の様子も少し様変わりした。また基調講演のプログラムも充実した内容となっている。

中国を中心に、アジアの業界関係者どうしのネットワーキングのための場所としてもうまく機能し始めていると感じている。様々なことにチャレンジしながら、私はこのイベントを3〜5年のスパンで大きく成長させたいと考えている。

いま中国本土では中流階層の人口が増えて、消費の質が向上しつつある。高付加価値商品の売れ行きも好調だ。一方でインターネットショッピングも盛んな国なので、ともするとエレクトロニクス市場も値下げ競争に陥りかねない。

CE Chinaのように上質なブランドを集めて、小売業者に対してその価値を正確に伝えるイベントが果たす役割は大きいと思っている。時間をかけながら丁寧に戦略を浸透させていきたい。

── 日本のコンシューマー・エレクトロニクス業界には苦境に立たされているブランドもあるが、日本のメーカーに対して訴えかけたいIFAの魅力とは。

ハイテッカー:IFAは日本のブランドと常に良い関係を築いてきたと自負している。どの国のブランドにとっても、IFAはイノベーションを見せるのに最高のイベントだ。出展に対しては、時折慎重すぎるように思うところもあるが、これからのコネクティビティの時代には大規模なイベントに出展をして、世界のマーケットリーダーとの活発な交流も必要になると思う。スタートアップなど若い企業にも同じことが言える。IFA NEXTが出展社にとって最高のコニュニケーションプラットフォームになるだろう。

日本のブランドは、自身の技術や製品が海外から大いに注目されていることを感じてほしい。日本の優れた技術、デザイン力は我々にとって憧れの対象だ。彼らのこれからの成長に対して、私はとても楽観的な期待を持っている。


◆IFAに関する問い合わせ先
メッセ・ベルリン日本代表部
TEL/03-6426-5628
FAX/03-6426-5629
Mail/info@messe-berlin.jp

 

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