IFA2011スペシャルインタビュー <Part.1>

IFA2011グローバル・プレスカンファレンス開催 − ハイテッカー氏が語る「グローバルに広がるIFAのインパクト」


世界最大のコンシューマー・エレクトロニクス展「IFA2011」を主催するメッセ・ベルリン社は、世界のジャーナリストを集めた「IFA2011グローバル・プレスカンファレンス」を、スペインのアリカンテで開催した。今回のプレスカンファレンスでは、新たにIFAの展示ホールがさらに拡大されることや、コンシューマーエレクトロニクスからホームアプライアンス、スマートホンやタブレットなどモバイルの分野にも幅広く最新技術と製品が展示されることなど明らかにされた。いまやグローバルな注目を浴びるIFA2011の見所について、IFAグローバル統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏に話を訊いた。

(インタビュー/Phile-web編集部)

Mr. Jens Heithecker
(イエンズ・ハイテッカー氏)

メッセ・ベルリン社 IFAグローバル統轄本部長


エモーションに呼びかける展示で、製品の全体的な価値を見せる

− 今回スペインのアリカンテで開催されたジャーナリスト向けのプレスカンファレンスは、タイトルがこれまでの「インターナショナル・プレスカンファレンス」から「グローバル・プレスカンファレンス」に変わりました。まずはその背景からうかがいたいと思います。

ハイテッカー氏:IFAのプレスカンファレンスは、2006年に「ヨーロピアン・プレスカンファレンス」としてスタートして、翌年からアジアのジャーナリストをお招きして「インターナショナル・プレスカンファレンス」になり、今年は全ての大陸からのジャーナリストが集まって、遂に「グローバル・プレスカンファレンス」となりました。

これには二つの理由があります。一つめの理由は、IFAがテーマとするエレクトロニクスの市場構造がグローバル化したことで、近年IFAに来場いただくジャーナリストの方々、トレードビジターの方々がグローバル化したことから、プレスカンファレンスのタイトルもこれに相応しいものに変えることにしました。もう一つの理由は、IFAの影響力がグローバルに高まってきたためです。先ほど申し上げたように、IFAには今や様々な国のジャーナリストが取材にお越し頂いており、昨年のIFA2010では、来場ジャーナリストの数が6,084人を達成し、うち1,877人がドイツ国外から訪問いただいた方々でした。恐らくコンシューマー・エレクトロニクスショーで、これほどまで色々な国々からジャーナリストが集うイベントは他にないと思います。

GPC
スペイン・アリカンテで4月14日から17日まで開催されたIFA2011グローバル・プレスカンファレンスには、45を超える国々から約330人のジャーナリストが集まった。

− 近年のIFAはエレクトロニクスに関連する先端のテクノロジーを一望できるショーでありながら、同時にエレクトロニクス、ホームアプライアンスの製品を軸とした、豊かなライフスタイルのショーケースとして、重要な役割を果たしていると思います。IFAのライフスタイル提案に対して期待が高まっていることも、IFAの成功につながってるのではないでしょうか。

ハイテッカー氏:そう思います。多くのコンシューマーにとって、最新のデジタル機器を購入する際に決め手となるものは、必ずしも先進的なデジタルテクノロジーだけではないと思います。むしろ、自分の生活に照らし合わせながら「この製品で何ができるのか。暮らしのどんな所で役に立つのか」が一番気になる関心事かもしれません。あるいは製品が持っているイメージが、購入者にとっての満足度につながる場合もあります。アップルのiPhoneが良い事例です。エレクトロニクス、ホームアプライアンスの魅力を語る上で、「コネクティビティ」をあらゆる側面から検証していくことが大事だと考えています。コンシューマーは製品どうしをケーブルで、あるいはワイヤレスでつなぐこと自体に満足するわけではなく、色々な製品がつながって、快適にコンテンツを楽しめることに喜びを覚えるものです。

例えば、BDプレーヤーには現在のコンシューマー・エレクトロニクスの先端技術が詰め込まれていますが、それらの全てを理解できるコンシューマーはほんの一握りです。エンジニアたちが努力を重ねて完成させた先端技術・機能の価値は、概念的な展示内容だけになってしまうと、BDプレーヤー全体の価値が多くのコンシューマーに伝わりません。次のステップとして、一般のコンシューマーにも分かるように、製品の持つ価値をわかりやすく伝えていくことが必要になります。

そこで、私たち主催者はいつもIFAのショーをつくりあげる上で、メーカーの方々をはじめとする出展者の皆様と、来場者の「エモーション」に呼びかけるコミュニケーション力のある展示をつくることを大事にしています。展示されている製品を手にとって、体験したときに感動が生まれて、人々のポジティブな「エモーション」を引き出せる展示こそが、成功する展示であると考えています。

またひとつの展示製品を単体で見せるのではなく、その製品の周辺に広がるコネクティビティが見渡せるような仕掛けも大切です。製品と製品とがつながることで生まれる、新しい価値と機能、サービスが見えてくることで、その製品を使って自分の生活がどのように豊かになるのかが見えてきます。またコンテンツをより便利に、快適に楽しむためにどんな製品が必要か、どんな使い方ができるのかを感じられるようになります。こうした人々の「エモーション」に呼びかける展示を工夫してつくりあげることが大事だと思っています。

IFAはメーカーをはじめとする出展者の方々が、ユーザーとのコミュニケーションをより身近に感じながら、最新の製品や技術、サービスを紹介できる場を提供することに力を注いでいます。

今年もエレクトロニクスに関わる全ての注目すべきトピックスがIFAに集まるだろう

− 昨年のIFA2010では3Dやワイヤレス、スマートフォンなど新しいコンシューマーエレクトロニクスの分野が脚光を浴び、iPod/iPhone関連の製品・サービスを集めたIFA iZone、eBookにハイライトしたIFA eLibrary、それぞれのホールも成功を収めました。

ハイテッカー氏:IFA2010では、大手メーカーは自社のホールにモバイル関連の新製品とサービスを展示し、例年との比較でもその数は増えていたと思います。「IFA Communication」セクションのホールである「ホール9」には、モバイル系のサービスプロバイダーやソリューション企業、メーカーが多く入っていますが、こちらにはまた新しい出展者も増え、これまでよりも一層充実した展示内容となりました。新しく立ち上げた企画展示のIFA eLibraryもまた、重要な役割を果たしたと考えています。正直なところ、ヨーロッパはアメリカと比べてまだ、およそ2年ほどはeBookのジャンルで後れを取っていると感じていました。そこで、IFAはヨーロッパで最初のステップとしてIFA eLibraryを企画して、そこにeBook関連の製品やハード、ソフトサービスを取り扱う、ヨーロッパの主力企業に数多く集まってもらいました。コンテンツを取り扱う出版社やe-Newsペーパーを発行するプロバイダーにも参加していただいたことで、IFAを見に来た方々に「eBookで何ができるのか」「どんなライフスタイルが生まれるのか」を非常にわかりやすく示すことができたと思います。IFA iZoneやIFA eLibraryができたことで、メーカー各社のモバイル関連の展示や、「ホール9」の展示により注目が集まる効果も得られたと感じています。

eLibrary
iZone
IFA eLibraryの展示には、タブレットやアクセサリーなどの製品をはじめ、eBook関連のコンテンツサービスを提供する出展者が数多く集まった。(写真左)
iPod/iPhone関連の周辺機器にスポットが当てられたIFA iZoneのホールにも大勢の来場者が足を運んだ。(写真右)


− IFA2011では、メッセ・ベルリンに新しいホールが増設される計画も発表されました。

ハイテッカー氏:IFA2010では「出展展示面積:134,400平方メートル」という記録を残し、出展者の皆様に大変好評をいただきました。今年は出展者の募集を開始したとたんに、多くの申し込みをいただたことから、会場内に新しく2つの仮設ホールを設けることを決めました。こちらのホールには今年、主にデジタルイメージング関連の出展者に入っていただく予定です。また2014年には2階建ての常設ホールを建築します。

Hall
IFAの開催会場とメッセ・ベルリンに新たなホールが建設される計画が発表された

− 2008年からIFAにホームアプライアンスの展示分野が加わり、コンシューマーエレクトロニクスとの効果的な融合を実現してきました。今後は展示内容がさらに新しい分野へ広がっていく可能性もあるのでしょうか。

ハイテッカー氏:ヨーロッパではカーエンターテインメントシステムの多くが純正であり、後からオプション購入して、ユーザーが交換できるアフター市場が多くありません。ただ、カーエンターテインメントが、ホームエンターテインメントとの連携を加速し始めていることは確かです。コンシューマーにとっても、カーエンターテインメントをめぐる新しいライフスタイルは大きな関心事であることは確かです。IFAとしても準備は進めていきたいと考えています。


− エコロジーに関する展示は今年どのようになると考えていますか。

ハイテッカー氏:エコロジーや省電力性能に関する技術や製品・サービスは、いまヨーロッパで最も注目されているメイントピックの一つです。エネルギー消費に関する話題について、ドイツ人は特に敏感になっています。私たちは実際にエネルギー問題の大切さ改めて痛感するとともに、どのようにしてエネルギー消費の効率化を個々人が追求すべきかについて、考察を深めています。多くのコンシューマーがグリーンテクノロジーを導入した製品に関心を持ち、価値を見い出して実際に投資をしています。一方で、グリーン性能についても先端技術が導入された製品は値段が高く、全ての人々がそれを手に入れることができるわけではないことも課題になっています。しかしながら、ドイツでは着実に確かに「よりグリーンに」をテーマに、エレクトロニクスが動き始めています。IFA2011ではエコロジーを取り扱った特別展示を行う計画はありませんが、恐らく非常に多くのブースでエコロジーをハイライトした展示を見ることができるのではないでしょうか。


− 最後に日本のメーカー、トレードビジターの方々ににメッセージをお願いします。

ハイテッカー氏:日本のメーカー各社がこれまで、世界のエレクトロニクス市場を力強く牽引して来られたことに大変な敬意を抱いています。このたびの大震災により、困難な課題も多くあることは存じ上げていますが、日本は必ずやこの危機を乗り越えるであろうと信じています。IFAは日本の出展者、トレードビジターの皆様にグローバルなエレクトロニクス市場とコミュニケーションを図るための最良のツールをご提供します。IFAの効果を最大限に役立てていただきたいと考えています。


過去のスペシャルインタビュー
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