IFA2010スペシャルインタビュー <Part.1>
開催間近「IFA2010の見所」を聞く − 3Dやブルーレイの革新に期待が集まる



世界最大のデジタル家電の見本市「IFA2010」がドイツ・ベルリンのベルリン国際見本市会場(メッセ・ベルリン)で、9月3日から6日間にわたって開催される。昨年は世界的に経済環境が低迷する中で、IFA2009には世界から1,164社が出展し、ドイツ国内外から22万8,000人のビジターを迎え、前年比+8%の成長を記録した。またビジター総数、トレードビジター数の記録も伸び、期間中の受注総額も30億ユーロを超えて、「IFAのビジネスに成功をもたらす見本市」であることを証明した。今年はIFAが1924年に初めて開催されてから「第50回目」のアニバーサリー・イヤーとなる。今年の出展の見所について、メッセ・ベルリン社のイエンズ ハイテッカー氏、ディリク・コスロフスキー氏にインタビューした。

(インタビュー/Phile-web編集部・Senka21編集部)


出展面積が昨年から15%アップ − エレクトロニクスのメジャーブランドが顔を揃える

− IFAが現在のコンシューマー・エレクトロニクス、ホームアプライアンスのマーケットから求められている役割や期待感をどのように感じていますか。

Heitecker
イエンズ・ハイテッカー氏
メッセ・ベルリン社 
IFA 統轄本部 部長

ハイテッカー氏:IFAがマーケットに対してどのような役割を担っているかについては、この数年間にIFAが発展してきた経緯を振り返ることで明らかになると思います。世界経済が不況に見舞われる中、IFAは安定した成功を収め、グローバルなコンシューマー・エレクトロニクスとホームアプライアンスのメッセとして、出展者、来場者の方々に高い評価をいただきました。IFAの成功が与えたインパクトは大きく、トレードビジターは従来、欧州中心からの来場者が中心でしたが、いまやアジアや米国からも多くのバイヤーの方々がお越しになります。IFAのトピックスを記事に取り上げて下さるプレス来場者もグローバル化が進んでいることも特徴の一つです。

世界的な経済不況の中で、IFAがこれほどまでに成長できた理由のひとつは、出展者の方々がディーラーとメディア、双方の来場者にたいへん効果良く出展内容をアピールできる見本市であるということです。また、一般来場者と、とても間近にコミュニケーションが図れる所もIFAならではです。恐らくこのようなかたちで、最高のマーケットツールとしての見本市を提案できるのはIFAだけだと思います。また出展者の皆様が成功を勝ち取れるよう、メッセ・ベルリンのIFAチームもベストな環境をご提供しています。

仮にご出展される方々のビジネスが、いま現在は厳しい状況にある時でも、IFAにご参加をいただくことで後に必ずや良い成果をもたらすはずと考えていますし、マーケットからこのようなご期待をいただいていることを私たち主催者側も認識しています。

− IFAは成果の得られる見本市だからこそ、そこに出展することで最大の効果を得たいという出展者の方たちの思いも強いと思います。出展各者から寄せられる様々な要望に対して、メッセ・ベルリンとはどのように応えながらコミュニケーションをつくってきましたか。

Koslovski
ディリク・コスロフスキー氏
メッセ・ベルリン社 
IFA シニア・プロジェクト・マネージャー

コスロフスキー氏:メッセ・ベルリンではIFAに出展される皆者からいただいた様々な要望やアイデアに、できる限りお答えしていくことを大事にしてきました。現在IFAが成功している背景には、出展者の方々と密接なコミュニケーションができる関係を築くことができたからだと思います。出展者の方々が最高の展示を実現して、トレードビジターの方々のビジネスにも成果があり、引いては一般来場者がショーを楽しんで、今後購入すべき製品を選ぶ参考にしていくという良い流れができあがっています。長年のコミュニケーションによって構築された信頼感が、安定したビジネスの成功を生み出していることも、他のショーにはないIFAだけの魅力だと思います。

− このような「成功への流れ」はいつごろからできたと実感していますか。

ハイテッカー氏:メッセ・ベルリンとして、良いかたちのコミュニケーションを築いてくることができた背景には、IFAの主催パートナーであり、世界的なコンシューマー・エレクトロニクスのメーカーがメンバーに参加している「gfu(ドイツ民生通信エレクトロニクス協会)」の尽力があります。gfuメンバーのアイデアを反映させながら、出展者とトレードビジターが円滑にコミュニケーションを図れる、最上のかたちをつくることができました。

− 今日までにIFA2010の出展申し込みの状況はいかがですか(※7月22日インタビュー時点)。イベントの規模はまたさらに大きくなりそうですか。

ハイテッカー氏:おかげさまで既に沢山の出展申し込みをいただいており、展示面積が昨年よりも15%増える見込みです。私たちも大変驚いているのですが、世界経済の不調が引き続き伝えられる中で、IFAはまた今年も大きな成長が期待できそうです。会場については出展者の方々のご希望にできる限りお応えしながら、十分な出展スペースを確保していくためにメッセ・ベルリンのIFAチームがチャレンジしているところです。

コンシューマー・エレクトロニクスの分野では、欧州でも特に人気の高いブランドであるパイオニアに引き続きご出展いただきます。またヤマハ、デノン、マランツなど、HiFiやホームシアターの分野で注目度の高いブランドが戻ってきますので、オーディオのホールがまたさらに華やかになるだろうと期待しています。

− 従来からホールレイアウトを変更することも考えていますか。

コスロフスキー氏:今までのホールプランが大変好評をいただいていますので、オーディオ/テレビ/コミュニケーション/ITといったテーマごとに分類された基本的なレイアウトを変えるつもりはありません。けれども毎年のことですが、それぞれに展示内容のハイライトについては変わってくるものと思います。

 

3Dやブルーレイの革新に期待が集まる

− 今年は「開催50回目のアニバーサリー・イヤー」ですが、何か特別な記念イベントを行う予定はありますか。

ハイテッカー氏:まずはIFAが50回の開催を迎えられたことをたいへん誇りに思い、また喜ばしく感じています。ただ、出展者、トレードビジターの方々は50回目の開催を祝うために参加してくださるわけではありません。私たち主催社にとっては、派手なお祭りをするためにではなく、参加いただく皆様のビジネスを着実に成功へ導くことが最大の使命です。とは言え、アニバーサリー・イヤーをお祝いすることも忘れていません。メッセ・ベルリン主催の公式行事はすべて「50回目のIFA」であることを踏まえての開催になる予定です。またオープニングセレモニーにはドイツのメルケル首相もご出席いただく予定です。


− 今年はどんなトピックスにハイライトがあたりそうですか。

ハイテッカー氏:トップテーマはやはり市場を席巻している「3D」における革新的な製品と技術、あるいはブルーレイなどフルHDのコンテンツになるものと思います。HDTVはいま欧州で最も注目を集めるテーマです。スマートフォンをはじめとしたモバイル機器の進化も重要なテーマです。いまスマートフォンが私たちの生活をどんなかたちで変えつつあるかは皆さんもご体感されていると思います。市場の伸びも顕著ですが、加えてまったく新しい機器や、エンターテインメントが登場してきていることで、いまモバイルエンターテインメントは非常に多くの可能性を感じさせるジャンルだと思います。モバイルエンターテインメントがもたらすライフスタイル革命を、IFAで皆さんにお見せできると思います。そして、CEではHiFiや薄型テレビなどが、私たちのライフスタイルをどう変えていくのか、提案型の出展にも注目が集まりそうです。

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戦略的なテーマとして、ひとつは「エコロジー性能のアピール」だと思います。各出展者がエコ性能というテーマをどう扱うか、それぞれの製品のエネルギー効率をどのように上げていくのかに注目が集まります。もうひとつはホームネットワークの構築がどうなっていくのかというテーマです。最近ではケーブルを使わない、ワイヤレスネットワークの普及も拡大し、例えばモバイル機器とテレビをネットワークでつなぐことで生まれるエンターテインメント、ノートPCの写真をワイヤレスでテレビに映して楽しんだり、iPhoneでホームアプライアンス機器をコントロールしたりといった、ホームネットワークを活用した画期的なソリューション提案に、人々は目をこらすはずです。

コスロフスキー氏:ネットワーク構築の特別展示としては、公的研究機関やメーカーの研究所・大学、プロジェクト共同体、国際レベルの標準化機関などが将来の新技術に向けた研究成果を発表する展示である「IFA TechWatch」も見所になると思います。「IFA TechWatch」は従来の展示会場から「Hall 8.1」に場所を移動して、展示面積も拡大して出展されます。一般来場者の方をはじめ、トレードビジターからメディアの方々までより訪問しやすくなり、業界の最新技術や動向を楽しんでいただけるものと思います。

こちらに出展される予定の“Eハウス2.0”のプロジェクトにも注目していただきたいと思います。ここではさきほど申し上げたモバイル機器とテレビによるネットワーク構築であるとか、セキュリティシステムとの連携、スマートグリッドの導入展開など、先進的なホームネットワークを、どのように日常空間の中に構築していけるのか、未来のスタイルをわかりやすくご紹介する予定です。IFA TechWatchに展示される技術やコンセプトは、遠くない将来の製品に活かされるものばかりであり、どなたにも身近に楽しんでもらえるものになるはずです。このほか、IFAとして研究所で開発されている最新技術や、研究内容にハイライトを当てる展示を増やしていきたいと考えています。


− IFAの成功がクリスマス商戦にもたらす効果をどのように見ていますか。

ハイテッカー氏:日本とドイツともに、市場のマインドとして「危機である時にこそ、反対にチャンスへ目を向けていく」ところが互いによく似ていると思います。IFAも昨年の世界経済の低迷時には「好調時の成果をがキープできるのか」と、多くの方々に心配いただいたものですが、結果的にはとても大きな成果を挙げ、好調な伸びをキープすることができました。その結果、「成功につながる見本市」としての存在をグローバルにアピールできました。その成功はクリスマス商戦への効果としても現れています。特に欧州でも重要なマーケットの一つであるドイツでは、CE・ホームアプライアンス業界の売上げ向上にIFAが重要な役割を担う結果となりました。世界全体を見ても、欧州のCE・ホームアプライアンス市場の安定した成長は顕著であると言えると思います。反対に昨今では、米国市場の不透明感を懸念する経済評論家たちの声を多く聞きます。

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欧州内でも、もちろん地域差はありますが、クレジットカードで買い物をするよりも「節約したお金で欲しいものを吟味して買う」という習慣があり、その特性がマーケットの安定を支えている要因の一つだと考えています。人々の経済基盤が比較的安定しているため、購買意欲も堅調で、あまり景気の動向に大きく影響を受けることがありません。例えばある欧州の調査結果では、テレビの販売台数予測が北米では2010年から2011年まで3,500万台と横ばいであるのに対して、欧州は2010年で4,800万台、来年は5,400万台になると見込まれています。欧州は経済成長が安定していることから、ビジネスがつくりやすい土壌であると言えるでしょう。人々の堅実さに支えられたたくましい購買意欲が、IFAの成長を促しているとも考えられます。

今年上半期の売上についても、欧州のディーラーの方々から「好調だった」という多くの声を聞いています。そこに加えて、先日のワールドカップサッカーの効果によって売上げがさらに伸びました。次はIFA2010が今年のクリスマス市場の活性化に一役買いたいと意気込んでいます。

ぜひ日本からも多くの方々にご来場いただいて、IFA2010の躍動を直に感じていただけき、成功を勝ち取って欲しいと思います。


過去のスペシャルインタビュー
>>世界が注目する「IFA2009成功の秘訣」とは − メッセ・ベルリン社ハイテッカー氏、コスロフスキー氏に訊く
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>>IFAベルリンショーのキーパーソンに聞く − 「IFA2009への期待と欧州エレクトロニクスの現状」