本多健二

■受賞インタビュー SONY
感動に出会える扉<uラビアで
胸躍らせる究極体験をお届けする
ソニーマーケティング株式会社
ソニーマーケティングジャパン
執行役員常務
本多健二

待望の4K有機ELテレビ、「ブラビアA1シリーズ」が高い評価を集め「批評家大賞」を獲得した。従来のテレビの延長線上にはない革新的なたたずまいが、テレビに新しい時代が到来したことを目にした人に力強く訴えかける。Android TV機能も着実に浸透。テレビ需要の本格復活に向け、ソニー「ブラビア」が市場を牽引する。

有機ELの特長を生かし
新たな世界観を実現

── テレビ市場も今年こそは反転攻勢をかけたいですね。

本多有機ELテレビがいよいよ各社から登場し、4Kへの話題も高まりつつあります。ブラビアではAndroid TV機能の価値も徐々に浸透し、お客様に体感いただくことで高付加価値テレビの販売につながる例が増えています。間違いなく昨年以上の手応えです。

── 4K有機ELテレビ「A1シリーズ」が批評家大賞を受賞されました。審査委員長の貝山知弘氏は「革新的なものが世の中に登場するときはたたずまいもまたそうあって欲しい」と述べていますが、アコースティックサーフェスなど、まさに従来のテレビとは一線を画します。

本多ブラビアの目指す姿は「感動に出会える扉」です。番組を見るだけではなく、自分が予期しない「あっ!」と思うような感動に出会える。4Kテレビの導入時にもサイドスピーカーを採用し、高画質に負けない高音質が画面からしっかり出る画と音の新しい世界を築き、高い評価をいただきました。

そして今回、バックライトの厚みがある液晶とは異なり、薄い有機ELならパネルそのものを震わせることができるのではないかという発想を実現したのが、アコースティックサーフェスです。細い音しか出せないように思われますが、ソニーでは08年に有機ガラス管を振動させる「Sountina(サウンティーナ)」という円筒型スピーカーを発売しています。そうした技術やノウハウの蓄積から音響エンジニアが実現させました。まるで現実を見ているように、セリフも登場人物の位置にしっかり定位して音が出てきますが、そこにはスピーカーの存在すら感じません。

画質へのこだわり、画面から出てくるようなリアルな音へのこだわり、そして、究極の没入感を目指した“たたずまい”では、“SONY”のロゴも端にわからないくらい小さく、“BRAVIA”のロゴに至っては裏面に配するこだわりを徹底しました。「他の同サイズのテレビよりずっと大きく感じる」と言われるのはそのためだと思います。単純に薄いだけでなく、パネルの特長を存分に生かして新しい世界観を打ち出しました。そこを高くご評価いただき非常にうれしく思います。

── 07年には世界初となる有機ELテレビ「XEL-1」(11V型)を発売されています。

本多当時、商品の販売終了後も有機ELに向き合い、次の商品化を目指して取り組んできた積み重ねがあったからこそ、今回の新製品が実現できています。ディスプレイのパネルとして諦めずに商品化に取り組み続けてきた長年に亘る研究の成果がしっかりと表れています。店頭で見比べていただくとはっきりわかると思います。今後、商品としての有機ELテレビの価値はどんどん高まっていくと思います。

── ブラビアのラインナップの中ではどのような位置づけになりますか。

本多有機ELは、一般的にハイエンドモデルに位置付けされますが、ブラビアのハイエンドクラスには、今回の「A1シリーズ」に加え、液晶の「Z9Dシリーズ」があります。高輝度、ハイコントラストという点ではソニーのテレビ史上最高レベルとなります。一方、有機ELは黒の階調に優れ、例えばシアタールームでの映画視聴では最上の画質をお届けできます。どんなコンテンツを楽しまれるか。どのような環境で視聴されるか。お客様のニーズや好みによって一番いいテレビは必ずしもひとつではありません。そうした提案も含め、テレビの魅力を高めていきたいと思います。

アナログ停波時に購入した薄型テレビに「ちょっと小さいな」と不満を感じている方は少なくないと思います。新しい有機ELテレビの価値を訴求する一方、価格的にお求めやすくなってきた液晶テレビでは、4Kの高画質、後悔しない大きなサイズ、また、ホームシアターとのセットによる体感で画質に負けない音の魅力を積極的にお薦めするなど、テレビの新しい楽しみ方をお伝えすることを心掛け、市場を活性化して参ります。

本多健二

新時代の究極体験に
不可欠なAndroid TV

── Android TV機能によるテレビの新しい楽しみ方を提案されていますね。

本多新しい時代の究極の体験を提供していく上で、欠かせないのが“操作性”。その軸となるのが「Android TV機能」です。店頭で体験できる仕掛づくりに特約店の皆さんと一緒に取り組んでいます。画質とは違った新しい体験軸として、需要喚起の大きなトリガーとなる大切な取り組みです。お客様にストレスなく体験いただくため、店頭ではネットワーク環境の整備が重要になります。購入いただいたお客様からは「Android TV機能のない生活はもう考えられない」という声を数多くいただいています。

ブラビアのネットへの接続は、昨年の約6割から直近では7割へと増加し、音声検索は1台のブラビアで1ヵ月に約50回利用され、話題のVODサービスの視聴も増えています。テレビの視聴時間を毎年調査していますが、「テレビを見なくなった」と言われるのとは反対に、昨年に比べ約10%増加しています。その牽引役がネット系コンテンツです。

テレビがつまらなくなったのではなく、その楽しみ方がガラリと変わり、広がったのです。買い替えて、新しい機能を使っていただければ、視聴生活はもっと楽しくなる。VODサービス入会時の視聴デバイスがスマートフォンやタブレットだった方でも、その後テレビで視聴するようになった方が多くいらっしゃいます。大きな画面で見たいのは当然の心理。Android TV機能によるグーグルのプラットフォームなら、音声検索もスムーズで瞬時に出てきます。「テレビってこんなに面白かったんだ」と多くの方に体感いただきたいです。

── アップル「ホームポッド」や「グーグルホーム」などAIスピーカーが話題を集めますが、実は日本では身近なテレビですでに実現されていますね。

本多「今日の東京の天気は?」と聞けば、ブラビアが応えてくれます。今後、グーグルホームのような商品が登場すれば、Android TV機能に対する評価や注目度も上がってくると思います。シームレスに家庭内のいろいろなものがつながり、そこに商機も生まれてきます。白物家電や自動車にもあっという間に広がっていくと思います。

── 今は、テレビコーナーに行ってもそうしたテレビの進化になかなか気づきにくい。

本多“価格本位”では家電業界がコモディティ化してしまいます。コンテンツの価値が高まるなか、それを見るための進化するハードウェアの価値も再認識していただかなければなりません。“楽しいこと”“新しいこと”を提案し、お客様に“欲しい”と思っていただける世界観をどれだけ創れるかが大切です。有機ELテレビという魅力的な素材が加わり、お客様にご提案できるメニューもさらに増えました。お客様が店頭へ足を運ぶきっかけづくりにも継続して力を入れていきます。特約店様と一緒に新しい生活の価値観をお伝えし、需要を力強く掘り起こしていきたいですね。

◆PROFILE◆

本多健二氏
1988年 1960年7月15日生まれ。神奈川県出身。1983年4月 ソニー(株)入社。2011年4月 ソニーマーケティング(株)ホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部統括部長、2015年4月 執行役員常務に就任、現在に至る。

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