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新しい価値観をもたらす有機ELテレビで
高付加価値ブランドの存在感を高めていく

李 仁奎

LG Electronics Japan株式会社
代表取締役
李 仁奎
Inkyu Lee

世界で初めて大型の有機ELテレビを商品化し、日本市場にもたらしたLG。停滞するテレビ市場を刺激し、活性をもたらすことが期待される有機ELテレビの展開について、LGエレクトロニクス・ジャパン代表取締役社長の李氏が語る。
インタビュアー/風間雄介 ファイル・ウェブ編集長、徳田ゆかり Senka21編集長 写真/柴田のりよし

有機ELの存在感で
テレビ市場を刺激する

── LGブランドのHDR対応有機ELテレビ「LG OLED TV」が、VGPの審査員特別賞を受賞しました。

ありがとうございます。当社が日本のテレビ市場に参入したのは6年ほど前。これまでIPSの液晶テレビで、すぐれたデザイン性と機能性を持つスマートTVとして訴求してきましたが、日本の多くの優秀なメーカーが活躍し、お客様も日本製品を好まれます。韓国メーカーであるLGはグローバルで事業を展開していますが、テレビの“本拠地”である日本市場にブランドを浸透させるのは難しいと感じていました。

携帯電話用途など小型の有機ELは展開されていますが、LGでは大型テレビ向けのパネル開発に世界で初めてかつ唯一成功し、有機ELテレビを商品化しました。日本市場には昨年から投入して今年で2年目。最先端技術を投入した高付加価値のディスプレイ、これまでにないまったく新しい未来のディスプレイとして、液晶テレビとは異なる次元の価値観を訴求していますが、日本のご販売店様やお客様に対しても大きなインパクトがあったと思います。

今回受賞致しました今年のモデルは、画質、デザイン性、機能性のすべてがさらに進化しています。漆黒の再現性で画質もすばらしく、また非常に薄くデザイン性も高い。高いご評価をいただき、ご購入後も高い満足感をもってご使用いただけるとお客様にアピールして参ります。

── 有機ELの日本での手応えはいかがですか。

昨年の日本での発表の後、ご販売店様からたくさんのお問い合わせをいただき、都市型量販店様、広域量販店様ともにスムーズに導入させていただきました。高付加価値をお客様にアピールできるものとして、ご販売店様にとっても魅力的な重要商材と受け止めていただいたのです。

昨年投入した当初は商品も高価格帯の展開で、ターゲットやチャネルを絞って参りましたが、今年のモデルからはラインナップも増え、今では全国にあるたくさんの量販店様で展開しております。昨今は媒体で取り上げていただくことも多くなり、お客様からの注目が高まっています。「有機ELって何だろう」から、「これが有機ELか」と言っていただけるようになりました。

テレビは白黒からカラーへ、またアナログからデジタルへと進化してきましたが、有機ELテレビはまったく新しい価値観をもたらすもの。お客様を店頭に呼び込む目玉商品として、量販店様の店頭でもっとも目立つ場所に置かれています。売り場にお客様が集まり、テレビ全体も再び注目されることになったと思います。また今後有機ELによってLGのイメージが向上し、テレビ以外の商材でも高付加価値で差別化を図れるブランドとして認知いただけるようになればと思っております。

「進化と普及」で
ラインナップを拡大

李 仁奎── 今年のモデルは4つのラインナップ展開ですね。ハイエンドの液晶テレビと価格が同等程のモデルもあり、お買い得感があります。

今年の発表会で「進化と普及」をアピールしました。「進化」は新しい価値観の提案、機能や画質、置き方などさまざまな切り口があります。今年のモデルはHDR対応ですが、ピクセルのひとつひとつをコントロールできる有機ELは、HDRとの相性も良いのです。またグローバルでの展開と同様に、日本でもドルビービジョン対応としました。有機ELはコンテンツ制作側がつくったすぐれたフォーマットにいち早く応えることができますから、ドルビーさんとも目指すところが一致し、戦略的パートナーシップを築くに至ったのです。また極薄のパネルを使用してデザイン性も大きく進化しています。

こうして機能や画質、置き方などさまざまな切り口で進化しますが、進化し過ぎて誰の手も届かなくては意味がない。そういう意味で、「普及」の観点から手に届く水準でのラインナップ展開も重要視しましたので、お買い得感のある商品作りで、ご販売店様と一緒にプロモーションを行っていきたいと思います。

ラインナップは、ハイエンドモデルは維持し今年はさらに77インチモデルも新たに投入しました。さらに戦略モデルとして普及型のBシリーズを展開し、他メーカーさんの液晶テレビと同水準の価格帯に設定しました。有機ELテレビもだいぶお求めやすくなり、今後は55インチモデルが30万円を切るということもあるかもしれません。これまでは手の届かない存在だったかと思いますが、購入しようかと思ってくださる方は増えてくるでしょう。これからが正念場だと考えております。

ただ、有機ELはやはりある程度以上のセグメンテーションでの展開を想定しており、低価格帯にまで広げることは考えていません。現状のレベルでの商品展開が進化していくことになるでしょう。来年には新たな切り口のご提案も致します。どんどん進化していきますから、お客様にもご販売店様にもご期待いただきたいと思います。

高付加価値で
ブランドの浸透を図る

── 販売店対策はどのようにされていますか。

新製品の導入時などには説明会を開催して、丁寧に取り組んでおります。3ヵ月ほどの間毎日のように開催しましたが、ご販売店様にも熱心にご協力をいただき、ありがたい思いです。これからは 他メーカーさんも参入されて有機ELの時代になりますが、LGは元祖として、先頭に立って有機ELの進化をご販売店様にご理解いただく活動を続けて参ります。LG製品を取り扱ったことで、他の有機ELテレビの導入もスムーズになると思います。LGと一緒にやっていただくことで、ご販売店様のメリットになるパートナーシップを引き続き組んでいきたいと思っております。

── これから2020年に向け、テレビの買い替え需要の高まりが期待されます。

日本のボリュームゾーンは32インチでしたが、これからは42インチ以上になってくると思います 。世界的なスポーツイベント開催時は大型モデルが注目され、50インチも動きやすいでしょう。LGのテレビ展開は有機ELを上位クラスに据え、当面は40インチ以上のサイズに集中したラインナップとします。

シェアの獲得にはこだわっていません。数を売るために安い価格帯でテレビを導入することはすぐにもできますが、それでは意味がない。あくまでも付加価値の高い商品をご提案し、時間をかけてLGブランドをしっかりと浸透させて参ります。そのためには有機ELを毎年進化させ、一方で液晶テレビでもデザイン性や機能性、スマート機能も進化させていく。LG製品を買うと楽しめる、嬉しくなるということをご販売店様とともに、お客様にしっかりとお伝えして参ります。

◆PROFILE◆

李 仁奎氏 Inkyu Lee
1991年LG 電子(現LGエレクトロニクス)入社。1998年 LG 電子ジャパン(現LGエレクトロニクス・ジャパン)開発支援チーム、Sourcing & Alliance グループに配属となり6年間日本に赴任。2004年本社へ帰任、Display 本部の経営戦略グループ長などを経て、2013年TV 事業部長/常務。2014年TV/Monitor 事業部長/専務。2016年LG Electronics Japan 社長/専務 就任。

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