巻頭言

今年のテーマ:チャレンジイヤー2013

夢、はぐくむ1年にしたい

和田光征
WADA KOHSEI

新年明けましておめでとうございます。

2013年の幕開けは、新政権が誕生し新たな潮流が始まったことであり、心から期待していきたいと思います。

3年前、民主党が政権を担うこととなり、私はもとより国民も大いなる夢と期待を抱いたのでした。しかし、その政権運営は稚拙を極め、国民の生活を奈落の底に落とす最悪のものであったと思います。生活苦での自殺者が3万人を超える状況になったことは、私にとっても憤りが収まらずに今日を迎えたのでした。

今回の選挙の争点は、景気回復が最大の核となったのではないでしょうか。まず人間は暮らしていかなくてはなりません。これまで暮らしていけない状況が続き過ぎました。また企業は成長戦略が頓挫したままになっている状況で、雇用を維持することなどできません。企業そのものの命運さえ、八方塞がりです。まず国民の生活を立て直し、それから明日を見た時に、原発問題等の別のテーマが浮かび上がるのではないでしょうか。

3・11からの復旧・復興にしても、他人事のような政府の振る舞いに私は強い憤りを覚えたものです。復興予算を各省庁で奪い合い、あれからまる二年が経とうというのに、結局被災地の復旧復興は遅々として進まない。

被災地こそ暮らしの本質が極限状態にあるのであり、それを国民はしっかりと共有しているのです。それを一刻も早く普通の暮らしに戻すのが政治だと思うのですが、全く呑気に時間を費やしていました。原発事故、そして被災地への対応を含めて、国民が厳しくみていた結論が今回の選挙の結果ではないでしょうか。

私の予想通り、不誠実な党に対する国民の拒否行動は当然のことであり、議席数は5分の1にも満たないものとなりました。このことは、先進国における政治史でも珍しいのではないでしょうか。何はともあれ、国民は誠実で律儀で逞しく、未来をしっかりと見ているのだと痛感したのでした。その党の当選した人たちは「立て直す」と口々に言っていましたが、国民はそう簡単には許さないでしょう。もうこりごりだと、子孫の代まで語り継がれるだろうと思います。

このことは、圧勝した側にも言えるでしょう。3年前に政権を失ったことは、極めて良薬だったのではないでしょうか。しかし、ここまでくれば4年後もそれ以降も安泰だと思ったとしても、覚醒してきた国民はそうは思ってはいないでしょう。まさに得意澹然でなければなりません。つまりうまくいった時こそ、淡々として慎重に事に当たらなければなりません。調子に乗ってしまうと、国民を裏切り、次回はまた苦しむことになります。

まず第一に経済を立て直し雇用を促進し、暮らしを正当な手段で守るべきです。原発事故を含めた震災復興を電撃的に行うことです。これらのことは、今回の選挙の底流にある核の部分です。故に、消費税については実施時期を見直すべきでしょう。原発については国民運動もおこっていますから、慎重であるべきでしょう。官僚支配は国民が反対していますから、いい加減手をつけるべきでしょう。それらができるか否かも国民はしっかりと見ていると思います。

新年にあたって、多少なりとも夢が描けることに感謝し、皆さまにとりましていい一年でありますことを祈念申し上げます。

 

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