文園剛之氏

ツインバード工業
“あったらいいな”をカタチにする
ツインバード工業(株)
取締役 営業本部 本部長
文園剛之氏

創業60周年を迎えた昨年、機動力の高い組織づくりと人材育成を柱に、新たな中期経営計画の取り組みをスタートしたツインバード工業。小回りが利くスピード感を大きな武器に、市場での存在感も着実に高まりつつある。市場創造へ向けた意気込みを同社取締役・文園剛之氏に聞く。

 

スピード感を大きな武器に
お客様にお届けするのは
“健康と笑顔”

感動と快適を実現する
日本発JAPAN DESIGN

── 昨年、創業60周年の節目を迎えられ、野水重勝氏が会長となり、新しく三代目の社長に野水重明氏が就任され、新体制でスタートを切られました。

文園 家電製品を通じてお客様の健康と笑顔を創造するために、お客様の声に耳を傾け、あったらいいなという思いをカタチにしていく。働くことが楽しい、誇りの持てる会社にするという新社長の思いを、新たに中期経営計画としてまとめ、5年計画のスタートを切りました。これからますます、顧客視点のマーケットインのものづくりが重要です。ニッチにはなりますが、目指すのはニッチトップです。

大変幅広い商品がある中で、「ツインバードは何をつくっている会社なのですか」と聞かれた時に、「お客様の健康と笑顔≠つくっています」と社員ひとりひとりが自信を持って答えられる会社になりたい。担当する営業部門でも、「買ってよかったね」「とても便利だね」とお客様に笑顔になっていただける商品をご提案していきます。

扇風機
扇風機
コアンダエア
EF-D949

独自設計のハネの形状とDCモーターで、子供の素肌にもやさしい思いやりの風を実現。
1ヵ月電気代約16円の省エネ設計※最小風量で1日8時間使用の場合

── この1年で色々な組織変更を行われています。

文園 まず、コンシューマーに対してツインバードの商品をきちんと知っていただくためのブランディング活動として、広告予算をとり、第1弾として昨秋、LED照明の新聞広告を全国3紙に延べ9回行い、大きな反響をいただきました。また、扇風機のコアンダエアでは、子育てママの読む雑誌やモノ系雑誌にターゲットを絞り広告を展開しました。

元々がギフトルートの会社だったため、家電量販店でお店の方と一緒になって売り場や売り方を考えていくという概念がありませんでした。そこで4月から、本部商談の部隊と店舗ラウンドの営業所を設け、人数も限られる中で一部アウトソーシングも取り入れながら活動を開始しました。早速その効果も表れ、夏物商品は計画通りに推移しています。

お客様に情報発信するホームページも、顧客目線に立ってわかりやすく、モノだけでなくコトも訴求できるよう、動画をふんだんに取り入れたものにガラリとつくり変えました。カタログや商品POPにはこれから日本発 JAPAN DESIGN≠フ文言をつけていきます。まじめな日本人が日本人のために、お求めやすい価格でいいものを作っている日本のメーカーであることを、認知・徹底していきたいと思います。

コールセンターも自社で手掛けていますが、1日300〜500件のコールに対し、以前は受電率が40〜50 %にとどまっていました。ここも、電話の多い曜日や時間帯を中心にオペレーターと電話回線を増強するなどした結果、受電率が80%まで上がりました。かかってきた「パンがうまい具合に焼けない」「防水AVの使い方がわからない」といったクレームもレポートとしてまとめ、週に1回「VOC(Voice of Customer)会議」を本社で開き、品質改善や新しい商品の企画に役立てていける態勢を整えました。

もらいものだと半年で壊れても「これ壊れちゃった」で済ませてしまいますが、自分で買ったものだと「冗談じゃないよ」となる。そうした心理からもわかるように、ギフトからスタートしたことで、品質に対しても正直、甘い部分がありました。ここにも専務をトップに据えた品質改革室を設け、外部コンサルティングも入れ、専門的な立場から品質改
善の取り組みを徹底しています。

ホームベーカリー
ホームベーカリー
PY-E731
少人数の食べ切りサイズにも対応。便利な機能と豊富なレシピで
もっと自由に手軽にパンがつくれる

当たり前と思っていたところに
ビジネスチャンスがある

── この1、2年の間にがらりと変わった印象ですね。

文園 個々の社員が目的意識を持ち、「会社を変えていくんだ!」ということで、全社が物凄く活気づいています。調理家電、AV機器などの7つの事業それぞれにプロジェクトチームをつくり、やり手の30代をチーフに抜擢し、商品企画などの責任をもたせています。毎週月曜には社長の元で会議を行います。マーケティングの視点をきちんと入れ、どんなお客様がターゲットで、何を望まれて、それにどう商品化していくか。顧客起点の考え方を徹底していきます。

仕組みや組織をつくることはすぐにできますが、人間が成長していくには時間がかかります。理屈ではわかっていても、考え方を変えていくことはなかなかできない。そこへの教育や研修に今、集中的に投資しているところです。

LEDふとんライトー
LEDふとんライト
LE-H224
読書灯、ナイトライト、サーチライト、
停電灯ライト、点滅灯の安心・便利な1台5役

── 売上げ計画についてはどのようにお考えでしょう。

文園 昨年度の売上げが150億で、構成比は家電ルートが約50%、ギフト・通販が30%強、SP・OEM・産業用が20%弱になります。4年後には200億へ伸長する計画ですが、伸ばしていくのは家電ルートです。

今年の売上げは160億を見込んでいますが、第1四半期は計画の数字には届きませんでした。昨年同期は復興需要の後押しがあり、多くのご家庭で壊れた電子レンジの買い替えや、扇風機、LEDなどに大きな売上げがありました。今年度は計画自体、上期の数字は高めに置いていたこともありますが、対一昨年比では2ケタ増と着実に伸長しています。下期には強力な新商品群を投入していきます。大商談会と称して行ってきた流通大手さんとの商談にも大きな手応えを感じており、通年での目標達成は十分に可能だと思います。

LEDシーリングライト
LEDシーリングライト
CE-7000
リビング向けにたっぷりあかるい7000ルーメンの明るさを実現。
操作のしやすいビッグボタンリモコン採用

── 新しい発想による先進性を備えた商品が求められています。

文園 お客様が当たり前だと思って諦めていたところにビジネスチャンスがあるのではないかと思います。先日発売したLEDシーリングライトは、「蛍光灯からLEDシーリングライトに代えたら逆に暗くなった」という声がよく聞かれることから、それなら、世界で一番明るいものつくろうと商品化したもので、大変好評です。他社では、たくさんのボタンがついた複雑なリモコンが多いのですが、これを、お年寄りでもどれを押したらいいか迷うことのない、誰でも使える非常にシンプルなものにしたことも大きな特徴になっています。

ポータブル防水DVDプレーヤー
ポータブル防水DVDプレーヤー
VD-J719
JIS IPX7相当の防水構造で、お風呂でゆったり映画やテレビが楽しめる。
5時間充電でワンセグ3時間、DVD3時間の連続再生が可能

── 日本のお客様はこれまで大手ナショナルブランドの安心感の中で商品を選んできましたが、ニーズや価値観が細分化する中で、一番欲しいものや扱いやすいものが実はもっとある。その選択肢の中にツインバードのブランドがある、ということですね。

文園 大手メーカーにはないツインバードの強みのひとつがスピード感≠ナす。家電店さんから「こんな風にしたらいいのではないだろうか」「こんなものを作ったら一緒に力を入れて売っていきたい」といった要望にも、高い融通度で、速いスピードで応えることができます。こうした点を強みに、お役に立てる提案活動を続けていきたいと思います。

── 店頭でも価格がすぐに下がってしまう悪循環の中で、マーケットを育てられる商品を欲しています。

文園 例えば、当社に「スロークッカー」という商品があります。電気煮込みなべで、低消費電力でコトコトと、いろいろなおいしい料理がつくれます。ガス火だといつのまにか火が消えてしまうなど心配もありましたが、電気なら火も使わないのでお年寄りでも安心です。通販などのルートが中心で、電気店ではまだあまり扱っていない商品なのですが、健康を切り口にした提案も行えるなど商談でも高い評価をいただきました。ギフト市場で培ってきたこうした幅広い品揃えも、これからの強みの一つにしていけると思います。

── 市場喚起の新しい風がどんどん吹き込んできそうですね。今後の活躍をご期待しております。

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