巻頭言

2011.11.11

和田光征
WADA KOHSEI

ケーズホールディングスが11月11日、帝国ホテルで創業65周年のパーティを開催した。今回は加藤修一会長と、遠藤裕之社長の就任披露も兼ねており、ひときわ盛り上がった。

加藤さんは「昭和二十二年創業以来、64年間一度も売上げが前年を下回ることなく、常に増加を続けています。創業当時からの“お客様の立場にたった販売・サービス”の経営が、お客様にご支持いただいたからこそ、できたことと考えています」と語った。

続けて、「当社が掲げている『がんばらない』経営とは、無理をしない経営ということです。できもしない目標に向って無駄な努力をするのではなく、基本的なことを確実に実行していく確実堅実な経営のことです。

売上げを増やそう、利益を増やそうと無理な目標を立ててしまうと、それを達成するためにお客様に高い値段の商品や利益のとれる商品を無理に売りつけるようなことになってしまいます。短期的に見れば売上げ・利益が増えるかもしれませんが、望んでいない商品を買わされたと感じたお客様は、その後来店しなくなり、会社の成長は望めなくなります。

その様なことにならないように、当社はこれからも『がんばらない』経営で着実に成長してまいります」と力強く結んだ。

さらに、「当社は従業員、取引先、お客様、そして株主様という多くの『人』に支えられており、いずれが欠けても成り立ちません。当社は人の『わ』、和、輪を大切に、お互いが幸福を感じられる経営を心がけています。そしてそれは、大きな社会貢献につながっていくものと考えています。お客様を思うからこそ従業員を大切にします。厳しいノルマを課したり、残業させたりと、従業員にストレスが掛かれば、快い接客は望めません。

また、お取引先を大切にして良好な関係を保つことにより、良い商品を優先的に店頭に並べることができます。従業員、お取引先を大切にすることが重要であり、その結果、会社が成長し、最終的に株主の皆様に報いることができるものと考えます。65周年を迎えましたことを、ご参集の皆様のご支援あってのことと厚く御礼申し上げます」。

続いて遠藤社長が、『がんばらない』経営をしっかりと発展させる旨の就任の挨拶をし、万来の拍手がそれを包み込んだ。

私は小誌で十数年に亘り加藤さんと対談するという栄誉を頂いたが、長い年月の間、本質にしっかりと根ざしたお話をお聞きして感銘の極みだった。同社は65周年から70周年、80周年、100周年と成長し続けるものと確信するのである。

会場で何人かの人から「加藤さんの『おかげさま』という言葉には心を感じます」と聞かされた。リーマン・ショックの折、私が今期は流石に難しいのではと問うと、加藤さんは和顔一笑「続きますよ」と言われる。また不幸にして震災に遭い、エコポイントの行幸もない今期は如何にと問うと、やはり和顔一笑であった。

同社サイトのトップメッセージでは、最後の一行に「当社は好況でも不況でも業績を伸ばすことができるよう安定した経営を続けている会社です」と結んであった。


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