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XEL-1

SONY
XEL-1

¥190,476(税抜)

発売:2007年12月1日
SonyStyleで購入

世界初の11V型有機ELテレビ

ビジュアルグランプリ2008 SUMMER ≪その他テレビ部門≫受賞モデル

ビジュアルグランプリ2008 ≪技術賞≫受賞モデル

【SPEC】●画面サイズ:11V型 ●パネル解像度:960×540 ●コントラスト比:1,000,000対1以上 ●入力信号対応:1080p,1080i,720p,480p,480i ●受信チャンネル:地上デジタル放送、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送 ●音声部:実用最大出力 1W+1W(JEITA) ●入出力端子:HDMI入力×1、USB×1、ヘッドホン×1、LAN×1 ●消費電力(待機時):45W(0.84W) ●外形寸法:287W×253H×140Dmm ●質量:2.0kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

いよいよ、有機ELテレビ時代の幕開けである。ELとはエレクトロルミネッセンス(電界発光)のこと。電気エネルギーによって有機蛍光物質が励起状態となり、光を発する。原理そのものは私の学生時代からあったが、こうして現実の商品を前にすると、感慨もひとしおだ。

世界初の有機ELテレビXEL-1は最薄部わずか3mmという薄さで、モダンなフォルムはインパクト大。パネル解像度960×540の11V型で、思わず覗き込みたくなるような、強烈に黒の締まったハイコントラストな映像美が圧巻だ。発光しないときは文字通り真っ黒で、ベゼルの黒そのものに溶け込んでしまう。これは初めての体験である。液晶、プラズマ、ブラウン管テレビとは、また一味違うものという印象だ。コントラスト1,000,000対1のスペックも十二分に実感できる。

有機ELパネルそのものは、チョークの粉のような有機物を真空中でガラス基板に蒸着させて作るという。有機層はわずか数百ナノミリメートルという極薄。極めてデリケートな発光のコントロールが要求される。スーパートップエミッションなるソニー独自技術によって、開口率を高め、効率よく光を取り出しているのだ。ピーク輝度が高く、動画レスポンスに優れるなど、有機ELのメリットを最大限に引き出す。

基本機能としてはデジタル放送3波のチューナーを搭載。HDMI入力を1系統、USBやLAN端子も搭載する。アナログ端子を一切省き、地上アナログチューナーも非搭載という割り切りが潔い。また、リモコンも洗練されたデザインとなっている。

黒が美しくぶれない画質。これが第一印象だが、応答速度について、『FPD Benchmark Software』(月刊AV REVIEW 1月号付録BD)でチェックしても抜群のキレのよさであった。ハンモック、世界地図などのシーンでも、残像感はきわめて軽微で、ボケ感も皆無とはいわないが、どの素材でも破綻をみせず、きりっとシャープに保つ。現在、発売中のディスプレイで最強といってもいいだろう。

BDの映画、録画ソースを中心に視聴を行なったが、黒の表現力と緻密さを実感することができた。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(WOWOW録画)は、どこまでも引き込む漆黒の宇宙をバックに、船体やロボットのカラフルな色の質感がくっきりと浮かび上がる。強いコントラストが特徴の『300』(BD)は冒頭の狼や雪の感触が、くっきりとクールかつ先鋭的であった。『VOLVER』(BD)やアニメーションの『カーズ』(BD)などは、今までのテレビにない発色の鮮やかさで、艶やかさに溢れる。これでもかという色の乱舞に心酔させてくれる。

画づくりとしては、有機ELらしさを意識してか、やや黒をつぶしぎみで、メリハリ指向な印象。微妙な階調性はもう少し欲しいところだ。色の輝きは強調感があるものの、クリアな発色で色純度が高い。抜けのよい色純度の高さは、独自のマイクロキャビティ構造やフィルターによる色抽出が効を奏しているためだろう。

『未知との遭遇』(BD)で、画質調整を試みた。メニューや調整項目はブラビアシリーズをほぼ踏襲。コントラストと輝度を標準の「80」からそれぞれ「60」に下げ、柔らかさを出してみる。フィルム感のある上質なトーンとなり、飛行物体が登場するラストシーンは陰影や色の表情がいっそう豊かになった。

コンパクトかつシンプルな魅力溢れるスマートな次世代テレビである。

(林正儀/「AVレビュー(2008年2月号)」より転載)