P-03はCD/SACDトランスポート。D-03はDSD/PCM対応DAコンバーターである。これらは超マニアを対象としたP-01、D-01 の設計思想を踏襲したということだが、実態はほぼ同一と捉えてよく、使い勝手やコストパフォーマンスを考慮すると、私としては極めて高く評価したい。

価格、外形寸法、基本的デザイン・仕上げは両機共通。ボディ全体は全て厚手なアルミニウム材でP-03ではベースシャーシに5mm厚鋼板を採用。全重量は何と30kgに及ぶ。むろんP-01と同様のVRDS-NEOメカニズムを搭載。真実、徹底した超高剛性無共振思想で貫かれている。それはP-03（S）以来、世界に類型がない水準にある。また、PCMのアップコンバートに加え、新しい提案としてPCM信号をDSD信号へコンバートするモードを持つ。

試聴はP-03、D-03を単独でなく両機を組み合わせて行った。あらかじめ明記しておく必要があるのは両機の組み合わせにおいて音楽再現のニュアンスはさまざまなモード設定によって時に微妙に大きく変化するという事柄である。いわばデジタルオーディオならではの変化であるが、いずれのモード設定においても高次元のクオリティとソノリティであることは確かだ。

各個人の趣味性は別にしてデジタルオーディオプレーヤーとして最高峰にランクされるのがこの両機の組み合わせだと断言できる。ひとつだけ具体的に書くとすれば、-60dB、 -80dB、そして-90dBといったPCMでのSN比、DA変換精度は超一流である。信号に様々なかたちでまとわりつくノイズ成分は見事に排除され、音楽成分の純度は極めて高度であるし、変換精度についてもこのSN比ゆえに歪み成分を感じさせない。

位相回転も高水準。ステージイメージはリアルそのもの。雰囲気で聴かせるタイプではなく再生しているメディアの裸の音を露出する。明らかに、一般的には良品と認識されているプロ機の水準などとは比較にならない超高度水準である。

さらに付け加えるとすれば「エソテリックの音質・音調は硬質だ」という感想を過去にすることになる。P-01/D-01あたりからか、エソテリックのサウンドからは硬質さが消えてきた。今回の両機はさらに磨きがかけられている印象である。メカニズムとエレクトロニクスがオーディオ的に融合した逸品である。 （藤岡誠）