ピュアオーディオブランド CEC


■ピュアオーディオ・ブランド「CEC」とは

世界初のベルトドライブ式トランスポートの開発、といえばCECである。名器TL0やTL-1Xの原形は既に1991年に生まれているのであって、さらに源流を溯るとアナログフォノモーターの老舗ブランドにたどりつく。1954年の創業、当時の社名は中央電機だ。CECはブランド名で現在はそのまま社名となっているのは周知のとおり。そのCECがスーパーリンクや画期的な回路構成をもつAMP71を登場させたのにも驚くが、ここで紹介するヘッドフォンアンプHD51にはその“LEF-AMP”技術が応用されているのだ。(林正儀)

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文/高橋敦■テストレポート

ヘッドホン
HP-53FB
¥34,650(税込)
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【SPEC】
●形式:クローズド・エアー・ダイナミック型(密閉型) ●インピーダンス:40Ω/1kHz ●周波数特性:20Hz − 20kHz ●出力音圧レベル:103dB/1kHz, 1mW ●最大入力:300mW ●コード:全長約2m ●プラグ:バランス型XLR 3ピン(2番ホット、3番コールド)×2(L/R) ●質量:約390g (プラグ&コード含む)

広がりとその中での適度に余白を残す音場感は密閉型ヘッドホンでは最高レベル

ヘッドホンのバランス駆動には、解像度の向上、音の立ち上がりの良さ、左右の分離の確かさといった利点がある。ただバランス駆動に対応するヘッドホンはハイエンドやプロユースの製品が多く、価格的に手を出しにくかった。本機は同社の業務用アンバランス型ヘッドホンHP-53をベースにバランス型に変更。それに伴うチューニングを施したモデルだ。既存モデルをベースにすることでコストをある程度削減できたのだろう。バランス型としては手を出しやすい価格を実現している。

バランス型ならではのポイントは、左右ドライバーのマッチングが特に厳密に行われている点だ。左右の分離がより明確なバランス型では、左右ドライバーの特性の揃い具合は、アンバランス型よりさらに重要。本機は左右の音圧レベル差を1dB以下に調整している。

その他にも、内部回路、ケーブルおよびマウント部分の再設計、イヤーパッドの厚みを増して装着感をさらに向上など、ベースモデルの完成度に満足せず、全体的な改善が施されている。

同社のバランス駆動対応ヘッドホンアンプHD53Nとの組み合わせで試聴。

ヘルゲ・リエン・トリオは、冒頭のドラムスのソロから、そのなんとも軽やかな音の届け方に感心させられた。重厚ではないが軽薄でもない。軽快や軽妙という表現が適当だろう。バスドラムやフロアタムなど低い音程のアタックもスパッと抜ける。

ベースでも際立つのはやはりアタック。ピッキングの瞬間から音が立ち上がり切るまでの一瞬に、様々な感触やニュアンスを含んでいる。ウッドベースの良く乾いた木の響きを感じさせる、しなやかで軽やかなアタックだ。

シンバルは、高域の鋭さを出しすぎずに、しかし金物感は存分に出してくる。ピアノは張りつめたピアノ線の金属感も伝えつつ、楽器全体の豊かな響きの方をより強く感じさせる。

音場感も特筆できる。広がりとその中での余白の適度な残し方。その点は密閉型ヘッドホンでは最高レベルと感じた。

バランス駆動は万能の魔法ではないとは思うが、本機においてはその効果は明らかだ。多くの方にぜひ体験してもらいたいと思わさせられた。

 

文/高橋敦■テストレポート

ヘッドホンアンプ
HD53N
¥78,750(税込)
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【SPEC】
●周波数特性::20Hz〜20kHz(+0dB/-0.25dB)●定格出力:ヘッドホンLOW→1.15W(32Ω)、ヘッドホンHI→0.25W×2(32Ω)、ヘッドホンBAL→4.7W(32Ω)、スピーカー→13W×2(8Ω) ●S/N比:ヘッドホンLOW/HI→-103dB、ヘッドホンBAL→-110dB、スピーカー(8Ω)→-103dB ●対応インピーダンス:ヘッドホン→16Ω〜2kΩ、スピーカー→4〜8Ω ●入力端子:バランス(XLR)×1、アンバランス(RCA)×1 ●ヘッドホン出力端子:バランス型XLR×1(2番ホット、3番コールド)、低インピーダンス用6.3mm×1、高インピーダンス用6.3mm×1 ●スピーカー出力:バランス×1 ●消費電力:14W(スタンバイ時)、23W(ヘッドホン)、50W(スピーカー) ●外形寸法:218W×58H×354Dmm ●質量:3.2kg

ヘッドホンから小型スピーカーまでさまざまに活用が可能

HD53シリーズの最新後継機となる、完全バランス設計のヘッドホンアンプ。新たにノイトリック社製コンビネーション端子を採用することで、バランス出力に対応。バランス型ヘッドホンが使用可能となっている。ハイエンド・プロユーザーの要望にも応える製品だ。

他の大きな特等は、出力インピーダンスの異なる2系統の出力端子を持つことと、ボリュームとは別にゲインコントロールのスイッチも用意されていることだ。利用するヘッドホンとのインピーダンスマッチングはもちろんのこと、自身の音の好みに合わせての選択肢も広がるため、積極的に活用したい。また加えてスピーカー端子も備えており、低出力ではあるがコントロールパワーアンプとしても利用できる。ヘッドホンから小型スピーカーまで、パーソナルオーディオ向けアンプとして活躍してくれそうだ。

音質傾向としては、ベースはしっかりグリップされており、膨らまさずに抜ける。ドラムスもバシッと爽快に抜け、鈍さなどは全く感じない。中高域方向もごく自然に伸び、アコギの軽い弾け方などに納得させられる。試聴して感じたのは、低域から高域までのバランスの良さ、自然な広がり、抜けの良さが印象的だということだ。それはヘッドホン側の特質でもあったのだが、色づけをすることなく、ヘッドホンの特性をそのまま引き出してくれるニュートラルなアンプだと言うことができるだろう。ハイエンドからエントリーモデルまで対応できそうだ。

 

文/藤岡誠■テストレポート

DAコンバーター
DA1N
¥231,000(税込)
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【SPEC】
●デジタルフィルター:FLAT/PULSE 切り替え可 ●サンプルレートコンバーター:24bit/96kHz ON/OFF(Superlink/USB入力選択時使用不可) ●周波数特性:20Hz〜20kHz、-0.2dB(デジタルフィルターFLAT) ●消費電力:20W ●外形寸法:約435W×126H×350Dmm(ボタン、端子、レッグ含む) ●質量:約14.5kg ●問い合わせ:CEC(株) TEL/050-5509-0795

独自のスーパーリンク接続をはじめ豊富なデジタル入力を持つDAコンバーター

世界唯一の独創的なダブルベルトドライブ方式CD専用トランスポートTL1N(766,500円)とコンビを組むべく同時発売された多機能型DAコンバーターが本機である。デジタル入力系は多彩でRCA、XLR、TOS、USB(ver1.1)、D-Sub9Pを装備。D-Sub9PはCEC独自の「SUPER LINK」と呼ぶCDセパレート方式のリンクで一体型プレーヤーTL51X、TL51XRなどに対応する。そして、本機とTL1NとのコンビではD-Sub9Pの発展形として独立4本ケーブル(TL1Nに付属。ベルデン社製両端BNC。各約95cm)で伝送する専用端子が加えられている。因みに、本機とTL1Nの組み合わせにおけるSUPER LINKは(1)デジタルオーディオデータ(2)マスタークロック(3)ビットクロック(4)L/Rクロックを前述したケーブルで伝送する。いささか凝り過ぎの観がなきにしもあらずだが、CD再生の究極を目指そうというチャレンジは大いに認めるところである。DACチップは?Σ型。サンプリング周波数は32/64/128fsの切り換えができる。これとは別にサンプリングレートコンバーターがあって、SUPER LINKとUSB入力時は動作しないが、24bit/96kHzのON/OFFが可能だ。さらに、デジタルフィルターの切り換えもある。微小レベルの変換精度・SN比は高度であった。電源は充実。ボディも強固。音は信号処理の様々なモードによって多様に変化する。したがって、一口で断定的にこうだ、と言うことは難しいが、まとめて言えばとてもキメが細かく分解能が高く透明感がある。空間再現性も十分確保されている。低域方向は低重心で量感も十分。本機は使いこなしが大切。多彩な機能に振り回されないように上手に使いこなしてもらいたい。つまり、本機の音は使い方次第である。

 

文/藤岡誠■テストレポート

CDトランスポート
TL1N
¥766,500(税込)
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【SPEC】
●再生可能ディスク:CD-DA 、ファイナライズ済み音楽用CD-R/RW ●スピンドル駆動方式:ベルトドライブ ●ピックアップ駆動方式:ベルトドライブ ●CDスタビライザー:φ120mm、質量370g(真鍮製) ●スピンドルシャフト:φ4mm ● 筐体:アルミニウム(最厚部 30mm) ●デジタル出力:SUPERLINK×1(BNC×4) 75Ω/5Vp-p、AES/EBU×1(2番ホット) 110Ω/5Vp-p、COAXIAL×1 75Ω/1Vp-p、TOS×1 -21〜-15dBm(EIAJ) ●消費電力:9W ●外形寸法:435W×145H×364Dmm ●質量:約14kg ●問い合わせ:CEC(株) TEL/050-5509-0795

低域方向は重心がぐんと下がっていて極めて安定

TL1Nは、世界唯一の本格的ベルトドライブ方式メカニズムを持ったCDトランスポート。もちろんCECのオリジナルで、私もかつて愛用したことがあり現在も静態保存している「TL1N」の進化型である。“本格的”とあえて書いたのは、同社ならではのベルトドライブ方式メカニズムは大別して2種類あって、一つはCDをセットするスピンドル(軸受け)をベルト駆動で回転させるタイプ。もう一つはスピンドルに加えピックアップのトラッキング移動もベルト駆動するタイプである。前者は同社の幾つかの一体型プレーヤーに採用され、後者はTL1→TL1Nに連なる、いわば、ダブルベルトドライブ方式である。

最大厚30mmのパネルを持った曲面多用の立体感がある外観で、ソフトは370gのスタビライザーを使用してトップローディングでセットされる。このスタビライザーがスムーズな回転の一助となることは言うまでもない。電源はスイッチング方式。デジタル出力端子はRCA/XLR/TOSの他、同時発売されたDAコンバーターDA1N(231,000円)との組み合わせ専用の「SUPERLINK」があり、4本の両端BNCのケーブルが付属する。

取材の際は当然、DAコンバーターには本機とコンビを組むべきCECのDA1Nを使用。それに本機の汎用性を意識してアキュフェーズDC-801を組み合わせて試聴した。この2機種のコンバーターで共通して感じられるのは、中低域から低域にかけての肉厚感である。特に低域方向は重心がぐんと下がっていて極めて安定。私のこれまでの経験で言えば、ベルトドライブ方式メカニズムの特徴・特質だと確信している。とにかく他のトランスポートからは出てこない低域方向の充実を聴き取ることができる。また、SN感がいい。楽音に雑味が加わらないからだが、結果的に高域方向に辛口な表現がなく、しっとりとしてスムーズ。透明度も高い。単体のCDトランスポートとして大きな存在感を感じる。

オーディオマニアックにとって興味深いのはDA1Nとの組み合わせだろう。DA1Nは機能の多彩さに比べ安価なのも魅力だが、CECオリジナルの「SUPERLINK」でCD再生の高度化が狙える。また、様々なデジタル信号処理機能を有していることもあって本機との組み合わせでも音質・音調は千変万化。それでも前述した低域方向の聴こえには揺るぎないものがある。

 

文/井上千岳■テストレポート

電源ケーブル
PWC-4N3.5
¥25,200(1.5m/税込)
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【SPEC】
<CD3300R>
●新電気用品安全法(PSE)クリア ●導体:高純度OFC(4Nクラス無酸素銅)45本 ●構造:3芯シールド ●プラグコネクター:ロジウムメッキピン付モールド一体成形型 ●ケーブル外径:12mm ●長さ:1.5m ●耐電圧:1000V/1分間 ●定格電流:15A(125V) ●導体抵抗:5.5Ω/km以下(20°C) ●絶縁抵抗:10Ω/km以上(20°C)

音のくすみや輪郭のボヤケに効果的な製品

導体に4N相当のOFCを使用し、0.32mmの素線を45本ずつ撚り合わせて3芯構造としている。それぞれを絶縁したうえで天然綿糸の介在を充填し、アルミラップでシールドを施した外側にEU-ROHS準拠の新素材PVCで被覆をかけた構成である。コネクターにはホスピタルグレードの端子を使用し、接点にロジウムメッキを施した一体成型のモールド型としている。

ぱりっとして立ち上がりの鮮明な音調を示す。ジャズはトロンボーンが明るく張りがあり、ベースやドラムも明瞭で勢いがいい。アカペラはソプラノがシャープに描かれ、一人ひとりの声が彫りの深いタッチで把握されている。ボーカルもダイナミックで力感が高い。オーケストラは起伏に富んで陰影が濃く、楽器それぞれの切れがいい。棘や歪みは感じないが、エッジが利いて輪郭の明瞭な再現だ。

文/藤岡誠■テストレポート

プリメインアンプ
AMP6300
¥294,000(税込)
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【SPEC】
●定格出力:190W+190W(8Ω)、256W+256W(4Ω) ●周波数特性:1.5Hz-300kHz,+0dB/-3dB,1W ●S/N:95dB(A-weighted,1W) ●入力:バランス2系統(XLR)、アンバランス3系統(RCA) ●入力ゲイン:0dB、+6dB ●出力:スピーカー出力1系統、REC OUT 1系統 ●消費電力:最小75W、最大600W ●外形寸法:435W×125H×373Dmm(レッグ、端子を含む) ●質量:16kg

充実した電源部を装備 圧倒的なハイパワーを実現

独自の回路構成と、たくましいサウンドで高い評価を得るCECのプリメインアンプの最新型。

出力段は独自の高効率クラスA動作で、進化したLEF(ロード・エフェクト・フリー)によってNFBを頼りにせず動作特性と安定性を高めている。この出力段は左右ch合計で16個のパワートランジスターによって構成される。放熱器はボトム後方にあり、静粛な強制空冷ファンを組み合わせたクーリング・システムとなっている。出力量は8Ω=190W/ch、4Ω=256W/chと大きい。このサイズでこの出力は大きな魅力。これを可能としたのは余裕のある出力段構成、このクーリング・システムはもちろん、電源部の充実がある。600Wトロイドコア型電源トランスと小容量電解コンデンサーを並列接続し、総容量 100000μFで整流回路を構成、この出力供給を保証している。増幅段はフルバランス構成だ。

ディスプレイには音量/バランス、そして内部温度を表示することができる。バランス調整はボリュームノブを押すことで操作調整ができる。ミューティングはフェードイン/フェードアウトで動作。これは全ての入力切り換え時でも同様の動作をする。ボトム下部にはハイブリッド・セラミックス素材のパネルが取り付けられており、本体の重心を下げると共に制振効果もある。脚部は4点スパイク支持でスパイク受け皿も付属する。

音量調整はDIGM(デジタル・インテリジェント・ゲイン・マネージメント)と呼ぶアンプ利得可変方式で1dBステップ66段階のコントロールが可能。トーンコントロール、フォノEQはない。

十分なウォーミングアップ後に聴けば、高域方向は実になめらかで穏やか。高音楽器の質感がきちんと伝わってくる。中域周辺も妙なツヤを発生せずに高密度。注目は低域方向の押し出し感。この充実ぶりは相当なもの。たくましくグングンと押してくる。これは最近のCECアンプの傾向でもある。

文/藤岡誠■テストレポート

プリメインアンプ/真空管アンプ
AMP53/TUBE53
¥252,000(税込)/¥283,500(税込)
製品データベースで詳細を見る(AMP53)
製品データベースで詳細を見る(TUBE53)
【SPEC】
<AMP53>
●定格出力:100W×100W(8Ω) ●入力ゲイン:0dB、+6dB ●入力:XLR2系統、RCA2系統 ●出力:スピーカー出力1系統 ●電源:AC100V ●外形寸法:217.5W×100H×448Dmm ●質量:9.6kg
<TUBE53>
●定格出力:20W×20W(8Ω) ●使用真空管:出力管/6L6GC×4、初段・ドライバー段/ECC82(12AU7)×2 ●周波数特性:20Hz〜20kHz±0dB ●全高調波歪率:0.5%(8Ω、1kHz) ●入力:RCA3系統 ●出力:スピーカー出力1系統 ●入力感度/インピーダンス:400mV/100kΩ ●電源:AC100V ●外形寸法:227.5W×183H×410Dmm ●質量:12.7kg ●取り扱い:CEC(株) TEL/050-5509-0796

独自の回路を持つAMP53 初の真空管となるTUBE53

TUBE53はアメリカで開発され、何回もの改良の結果、高い完成度を持つに至った6L6GCのプッシュプル。そのバイアスはセルフバイアス回路。伝相反転は定評のあるムラード型。NFBは必要最小限。出力トランスはオリエントコア。電源トランスはトロイドコア型。初段管やドライブ管は、いずれも AU7が使用されている。ボディは厚手のアルミ。管球の周辺は曲げガラス製で、全体としてシンプルな中に精緻な印象がある。残留ハム雑音は十二分に抑圧され、高能率スピーカーシステムと組み合わせても、実用上無視出来る高水準。音質・音場には感心した。中域周辺に妙なクセを持たないし、fレンジの両端はなめらかに伸張している。その上でうねりがなく、フラットレスポンス。低域制動力も高い。また、入力切り換えのクロストークも極めて少ない。CECにとって初の真空管方式だが、すっかり熟達した上での発売だ。

AMP53はデジタル・インテリジェント・ゲイン・マネージメント(DIGM)と呼ぶ先進の音量調節方式。出力段はロード・インフェクト・フリー(LEF)と呼ぶ独自の高効率シングルエンディッド回路。録音機用入出力系は持たない。高効率とはいえA級動作。発熱量は大きい。その割にボディは比較的コンパクトだから、底部に強制空冷ファンを持つ。また、内部温度チェックもスイッチ一発で直視することが可能だ。

文/炭山アキラ■テストレポート

【CDトランスポート】 TL0X CDプレーヤー/プリメインアンプ
CD3300R/AMP3300R
¥47,250(税込)/¥57,750(税込)
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【SPEC】
<CD3300R>
●再生可能ディスク:一般音楽CD、ファイナライズ済み音楽用CD-R/RW ●周波数特性:20Hz〜20kHz(±0.3dB) ●S/N比:XLR→101dB(FLAT)、RCA→92dB ●全高調波歪率:XLR→0.008%、RCA→0.01% ●アナログ出力:XLR/2番ホット→4Vrms、RCA→2Vrms ●デジタル出力:コアキシャル(RCA)×1、AES/EBU(XLR/2番ホット)×1、オプティカル(TOS)×1 ●消費電力:10W ●外形寸法:435W×101H×310Dmm(レッグ・端子含む) ●質量:4.6kg
<AMP3300R>
●定格出力:64W+64W(8Ω) ●周波数特性:0.5Hz〜200kHz/±1dB ●S/N比:102dB ●全高調波歪率:0.015%/50mW ●入力端子:バランスXLR×1、アンバランスRCA×4 ●出力端子:テープ出力×1、スピーカー出力×1 ●消費電力:最小32W、最大300W ●外形寸法:435W×102H×350Dmm(ヒートシンク・ノブ・レッグ含む) ●質量:9.2kg

現行モデルのリファインではなく随所にこだわりを感じさせる新作機

CECから新たに登場したCDプレーヤーとプリメインアンプが、このCD3300RとAMP3300Rだ。CD3300とAMP3300の後継機種のように捉えがちだがそうではなく、両機種とも併売されていくという。それでは、順に特徴を挙げていくとしよう。

CD3300Rと3300の一番の違いは、DAコンバーターのようである。同じバーブラウン社のチップが使われているのだが、Rには同社の最高級機にも用いられているPCM1796が搭載された。また、ヘッドホンアンプの性能が高められたのも大きな注目点だ。最近の同社はヘッドホンアンプでもいい製品を輩出しているので、その技術がフィードバックされたものだろう。ほか、電源ケーブルが着脱式になったことも嬉しい。

AMP3300Rは、3300からボリューム素子・SP端子を一新したと資料にある。3300のスピーカー端子はスプリング式で、テンションも高く音質的には問題のないパーツだったが、やはりネジ止めタイプを望む人も多いのであろう。実際に使ってみるとやはり3300Rの方が太いケーブルに対応するし、安心感が高いのも確かだ。ボリュームについては、3300Rで好みの分かれた涙滴型のボリュームノブが一般的な丸形に変更されているのが外見上の大きな違いだ。

音は明るく小気味よく、微少情報を積極的に出してくるところはCD/AMP3300とよく似ているが、さすがに再生スケールが一段アップしているような気もする。低域方向の力強さは明らかに一歩上、5300にも匹敵するのではないかと思わせる好再現だ。また、力感がアップしながら不用意に膨らまず、低域の輪郭がソリッドに締まっているのがいい。スピーカーのユニットをしっかりと制動して、思い通りに振り回すというイメージの鳴り方は、このクラスではなかなか得られないものだ。

文/藤岡誠■テストレポート

【CDトランスポート】 TL0X
CDトランスポート
TL0X
¥1,890,000(税込)
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【SPEC】
●スピンドル駆動方式:ベルトドライブ  ●ピックアップ駆動方式:ベルトドライブ ●スタビライザー:φ125mm、質量・450g ●慣性モーメント:6.6×10-4Nms2 ●スピンドルシャフト:φ5mm ●サスペンション:D.R.T.S.サスペンション、ティップ・トゥ(Tip-toes)型3点支持 ●メカ部シャーシー:六角形 20mm厚アルミニウムと10mm厚真鍮の異種金属2重構造 ●コントロール筐体:最厚部20mm厚アルミニウム ●デジタル出力:COAXIAL×1、AES/EBU(XLR、2番ホット×1、TOS×1 ●外形寸法:本体・300W×160H×300Dmm、電源・125W×105H×260Dmm ●質量:本体・16kg、電源・4kg

高度な耐振動性能を持ち比類なき低域を再現

世界広しといえども、デジタルオーディオプレーヤーでベルト駆動方式はCECの世界。本機はマニア間で神話になりつつあったTL-0の復活型。もちろん単なる復活ではなく性能面で一層の昇華を加えていることはいうまでもない。普通のプレーヤーのモータースピンドルの回転はデジタルサーボを強烈に駆使しているが、CECのベルト駆動方式はΦ4mmスピンドル(シャフト)に125mm、重量450gの大型スタビライザーを組み合わせ、その強大な惰性モーメント(フライホイール効果=イナーシャ=回転力)を応用して必要最小限のPLLサーボで可変回転数制御を行なう。

駆動メカニズムは六角形の20mm(アルミ)と10mm(真鍮)の積層ベース内に収容され、メインベースからは独自のサスペンション構造によってフローティングされており耐振動性能はきわめつきに高度である。電源は別筐体でコントロール用電源回路を内蔵。ドライブ機構に一切の影響を与えない。なお、本機のベルト駆動方式はスピンドル駆動及びトラッキング駆動の2カ所に採用されている。再生可能ディスクはCD、CD-R(RW)。デジタル出力はRCA、XLR、TOSの3系統である。本体側は主要操作ボタンのみ。細かな操作機能は付属リモコンで行う。

音質・音調はアナログフィーリング。厚手な中低域から低域の素晴らしさは比類ない。中、高域は静かでしっとりとする。

文/斎藤宏嗣■テストレポート

【ヘッドホンアンプ】 HD53R Ver.8.0
ヘッドホンアンプ
HD53R Ver.8.0
¥68,250(税込)
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【SPEC】
●定格出力:ヘッドフォン/1W(6.5Vrms・150mA)、スピーカー/2×10W(4Ω) ●再生周波数帯域(ヘッドフォン・スピーカー共通): 20Hz〜20kHz(0dB/-0.2dB)、10Hz〜200kHz(0dB/-1.4dB) ●S/N比:98dB(1Vrms入力・0dBu出力) ●負荷インピーダンス:ヘッドフォン/16Ω〜2kΩ、スピーカー/4Ω〜8Ω ●全高調波歪率:ヘッドフォン/0.009%(32Ω・1Vrms 入力・0dBu出力)、スピーカー/0.09%(8Ω・2Vrms入力・1W出力) ●入力端子:バランス(XLR)×1、アンバランス(RCA)×1  ●出力端子:ヘッドフォン出力2系統(6.3mm・3.5mm)×2、スピーカー出力×1 ●電源:AC100V、50/60Hz ●消費電力:最小 1.5W(スタンバイ時)、最大15W(ヘッドフォン)、50W(スピーカー) ●外形寸法:218W×57H×258Dmm(端子・ボタンを除く) ● 質量:2.6kg ●付属品:ACケーブル、RCA-ミニプラグ変換ケーブル他

自然な静寂感が得られて屋外、屋内どちらも好適

スピーカーシステムとは異なり、広範囲のインピーダンスのモデルが存在するのがヘッドホン。独自のLEF機能は、各種インピーダンスのオートマッチングを実現。マニア的には各モデルの持ち味を平均化する傾向が気になるが、普及〜中級モデルには優れた機能であろう。レファレンスでの印象は、適度なレンジの中で、低域から中低域にゆったりとしたふくらみ、柔らかいフォーカスの中域音像、軽く絞られて明るい広域と、親しみやすいパターン。全てのソースを独自のソフトな雰囲気で楽しませてくれる。

文/藤岡誠■テストレポート

【CDプレーヤー】 CD5300
CDプレーヤー
CD5300
¥120,750(税込)
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【SPEC】
●再生可能ディスク:音楽CD、ファイナライズ済み音楽用CD-R/RW ●周波数特性:20Hz〜20kHz(+0/-0.3dB) ●SN比:113dB(XLR)、106dB(RCA) ●全高調波歪率:0.004%(XLR)、0.012%(RCA) ●chセパレーション:100dB以上(XLR)、90dB以上(RCA) ●ダイナミックレンジ:97dB ●D/Aコンバーター:バーブラン社製 PMC1796×2 ●アナログ出力:XLR×1(4Vrms、2番ホット)、RCA×1(2Vrms) ●デジタル出力:COAXIAL×1、AES/EBU(XLR、2番ホット)×1、TOS×1 ●ヘッドホン出力:6.3mm×1 ●電源:AC100〜240V、50/60Hz ●消費電力:15W ●外形寸法:435W×115H×310Dmm(端子・ボタン除く) ●質量:8.5kg ●カラー:シルバー ●付属品:ACケーブル、リモコン(電池付属)

透明度と分解能に溢れるストレートな音楽再現力

微少レベル時のS/Nおよび、D/A変換精度はこれまでのCECのCDプレーヤーの中で一番良好である。従来、同社のこの項目は、高度なマニアにとって決して満足のいく水準ではなく、ごく一般的であったが、本機はその枠を超えてきた。また電源部は、同社初の高周波スイッチング方式。詳細は避けるが、かなり凝った手法を用いている。なお、ACプラグのアースラインを設置することを同社は薦めている。デジタル信号処理部はデジタルフィルターの「ソフト」「フラット」切り替えに加え、ディザ、fs切り替えを付加。マニアのシビアな需要に応える。

アナウンスメントも声にくぐもりがなく、リアルだ。ピアノもダイナミズムがあり、右手方向にわずかな明るさを感じる。弦楽合奏は爽やかで、オーバートーンの溶け込みに魅力がある。とにかくストレートで分解能、透明度に優れる。「サウンド・ツアー Vol.2」のトラック1は繊細。トラック2ではメンバーの数が分かるほどの分解能。サクソフォンのトラック4では、管の寸法がリアルに分かるほどだ。デリケートなトラック11はそれこそ、松ヤニが飛ぶかのようなリアルさ。トラック15のオルガンももたつくことなくストレートに聴こえてくる。

文/井上千岳■テストレポート


DAコンバーター
DA53
¥89,250(税込)
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【SPEC】
●DAC:バーブラウン PCM1796×2 ●周波数特性:10Hz〜20kHz 0.2dB(44.1kHz時) ●SN比:115dB(44.1kHz、32fs時) ●THD:0.018%(1kHz、32fs時) ●入力端子:AES/EBU、RCA、TOS、USB ●出力端子:バランス、アンバランス ●消費電力:11W ●外形寸法:217.5W×59H×280Dmm ●質量:2kg

豊富な機能をコンパクトなボディに満載した多機能機

コンパクトな筐体に収まったユニークなDAコンバーターである。バーブラウン社製PCM1796チップを2基装備した、デュアルモノ構成。デルタシグマ方式のオーバーサンプリングで、32倍、64倍、128倍に切り替えることができる。入力は4系統備え、TOSリンク、コアキシャル、AES/EBUのほかUSBによって、サウンドシステム1.1に対応している。またヘッドホンジャックとマイクロホンジャックも持つ。出力もアンバランスとバランスの2系統だ。

濁りのない滑らかなレスポンスを備え、低域のエネルギーをたっぷり取って穏やかな音調に整えている。ジャズはウッドベースが太い輪郭線で描かれ、量感に満ちた再現を示す。ピアノはタッチの棘を抑えて丸みを帯びた感触である。ボーイソプラノは声の出方が素直で音色に癖がなく、柔和な手触りでゆったりとした表現を展開する。あたりのいい穏当な再現性といっていい。声楽は粒立ちの細かなやや小降りの描き方である。声にもピアノにも歪みっぽさがなく、輪郭をきめ細かく捉えた感触だ。空間の出方も見通しがいい。コーラスはひっそりした響きを持ち、ハーモニーを汚れのない質感で描き出す。押しつけがましい感触がなく、余韻と音場の奥行きを自然体で描写する。オーケストラはたっぷりしたエネルギーを湛え、柔らかな質感で楽器ごとのディテールを静かに再現した印象である。

文/井上千岳■テストレポート


フォノイコライザーアンプ
PH53
¥73,500(税込)
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【SPEC】
●入力感度(1Vrms出力):RCA→12.5mVrms/1kHz(6.5mVrms at High gain)、RCA→6.7mVrms/1kHz(3.5mVrms at High gain)+6dB、RCA→2.2mVrms/1kHz(1.1mVrms at High gain)+16dB、XLR:MCカートリッジの電圧と負荷抵抗により変化 ●入力インピーダンス:RCA→47kΩ、1kΩ〜100Ω可変、XLR:約10Ω ●フィルター:RIAA±0.25dB ●サブソニックフィルター:SOFT→-6dB/10Hz、-12dB/5Hz、-22dB/2Hz、 -36dB/2Hz、MAX→-9dB/10Hz、-18dB/5Hz、-32dB/3Hz、-48dB/2Hz●入力端子:1系統(バランスMC×1、もしくはRCA MM/MC×1) ●出力端子:2系統(バランス×1、アンバランス×1) ●消費電力:10W ●電源:AC100V、50/60Hz ●外形寸法:217.5W×59H×280Dmm ●質量:2kg

カートリッジの特性に応じて細かい設定が可能なコンパクト機

ごくコンパクトだが、機能性に富んだユニークなイコライザーである。MM/MCのいずれにも対応し、入力はRCAのほかカレントインジェクション・バランス端子を備えている。これはMC専用で、入力インピーダンスは約10Ω。カートリッジの電圧と負荷抵抗によってゲインと入力感度が変化する。RCA端子はMM/MC共用で、入力インピーダンスはMMが47kΩで固定。MCは100Ω〜1kΩの可変である。ハイゲインスイッチを持ち、感度を約2倍弱に強化することが可能だ。このほかサブソニックフィルターも装備し、オン/オフのほかソフトとマックスの2段階に切り替えが利く。ソフトでは抑圧量が約3分の2に緩められている。出力はバランス/アンバランスの2系統を備える。

オーソドックスで穏当な再現性を持ち、くせのない音調を示す。ピアノは低域が時にやや膨らむ傾向だが、タッチは全体にクリアに把握されている。立ち上がりが力強く、強靱な出方にも不足しない。室内楽は弦楽器が伸びやかな質感で描かれる。若干スリムな感触を備えながら、濁りのない艶やかな音色を再現する。シャープなニュアンスが小気味いい。オーケストラは個々の楽器の質感が鮮やかに取り出される。大音量でのダイナミズムが気持ちのいい感触だ。弦楽器や金管が歯切れのいいタッチで艶やかに描写される。メリハリの利いた張りのある音調。

文/福田雅光■テストレポート


CDプレーヤー 
CD3300
¥41,790(税込)
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【SPEC】
●周波数特性:20Hz〜20kHz±1dB ●全高調波歪率:RCA 0.03%(1kHz)、XLR 0.01%(1kHz) ●SN比:95dB●chセパレーション:RCA 90dB(1kHz)、XLR 94dB(1kHz) ●Dレンジ:98dB ●DAC:バーブラウン社製PCM1738 24bit ●デジタルフィルター:8倍オーバーサンプリング ●デジタル出力:同軸 75Ω 0.5Vpp、AES/EBU(XLR)110Ω 5Vpp、TOS -15〜-21dBm(660nm) ●アナログ出力:RCA 2.2Vrms、XLR4.4Vrms ●消費電力:14W ●外形寸法:433W×102H×306Dmm●質量:5.7kg

ナチュラル基調で抜け良好耳あたりの良い明快な音

音質はソフトなフィーリングがあり、ナチュラル基調でS/Nがもうひとつであるため、切れ味や陰影の深さは惜しいところ。しかし、中低域の厚いバランスを基本として中間帯域は力があり、マリンバの明快な感触も伝わる。こもるようなこともなく、抜けは良好だ。

高解像度なメリハリを狙うよりも、しなやか、柔軟な音質に持ち味がある。鮮明なフュージョンサウンドは甘く感じるだろうが、ボーカル系一般、ポピュラーサウンドのまとまりがいい。耳あたりのいい感触を大切にしてあるためである。音質に目立つポイントや悪い点は見あたらないが、ちょっとした使いこなしで、グンと強化されるモデルで面白い。

質の高いバランス出力グレードアップも有効だ

低域に柔軟なボリュームがあり、痩せた音質ではない。S/Nというウィークポイントもちょっとした対策で改善され、陰影、解像度が強化されてくる。バランス出力の音質は透明でスピードのあるレスポンス、S/Nが高く質も高い。これは魅力だ。
難しく考えずに、安いのであるから手軽に、しかし、ノイズフィルターと電源ケーブルをグレードアップしてみるといい。

文/林正儀■特別レポート CECベルトドライブの魅力を語る

CECはベルトドライブ式CDターンテーブルの開発者であり、世界で唯一この方式にこだわったプレーヤー作りを進めるブランドだ。初代機のTL1は1992年のデビューだから10年以上の歴史をもつが、実は本誌でそのとき初レポートを書いたのは、私である。

ベルトドライブ式CDターンテーブルという発想

「CDターンテーブルをベルトドライブ化する?」。いかにCECがアナログプレーヤー作りの伝統があるとはいえ(創業は1954年、わが国で最も古いフォノモーターメーカーである)、アナログディスクとCDとでは、ターンテーブルの回転数やトルク特性がまるで違うだろう。ご存じのように、アナログディスクは33rpmのゆったりとした定速回転(CAV)だが、CDの場合は外周から内周にわたってほぼ500〜200rpmへとスローダウンするCLV方式である。高速なうえ回転数まで変化する。それが簡単にベルトドライブ化なんてできっこない!そう思いつつも、営業担当の石渡賢一氏(現CEC(株) 代表取締役社長)の熱っぽい説明に次第に引き込まれていったのだ。音のよいアナログプレーヤーとしては、直結のDDよりもベルト方式が優位であるのは常識だ。ならばCDメカであろうと理屈は同じはず。振動源となる駆動モーターにベルトを介在させて回したほうが、コギングや磁界の影響も少ないというセオリーである。但し条件がある。『慣性モーメントの大きいターンテーブルを用い、駆動はトルクの小さなモーターが適す』。これである。むやみと高トルクなモーターで回そうとしても、ターンテーブルが追いつかず、スリップやジッターだらけで音にならないという失敗はイヤというほどしたという。

そんな実験、試聴の繰り返しから導き出された結論は、まずターンテーブルの慣性質量を大きくとるということだ。つまりスタビライザーを併用して「高ホイール化」することに加えて、「低トルクモーター」を用いて優しく駆動する。スタビライザーのホイール効果に対して、摩擦で回転エネルギーが少しずつ失われる分だけ、低トルクで少しずつ注入してやればいい、という理屈である。

“ベルトドライブの音”を楽しむ

そんな理屈も、肝心の音に反映されなければ看板倒れだが……驚いた。耳を疑った。サーボでがんじがらめのDD方式とはどこかが違う。CDにありがちな無機質さや、カサカサ感が少しも見られないのはどうしたことだ。例えば良質な管球アンプでも聴くようなほの暖かく心地よいサウンド。音楽に血が通い時間がゆったりと流れるようで、芳醇なまろやかさがその響きには感じられたのである。なるほど、これがベルトドライブの音であったか。

言い忘れたが、始めて見たTL1トランスポートメカの印象を語ろう。リジッドな精密品である。仕上げはミクロン級。いかにも熟練エンジニアが旋盤で削り出したような手作り風の味わいもあり、アルミ押し出しのシャーシや、これを支える二重のサスが頼もしい。ベルトはスピンドルの駆動はもちろん、ピックアップ送りにも用いるのだが、私はこの生き物のような動きが興味深く、じっと飽かず眺めていたのを思い出す。さらに操作フィーリングも独特のもの。ディスクをセットし、スタビライザーを乗せる。そしてゆったりと起動……。音出しまでの“間”は、いいものだ。

TL1の内部機構

その後のCEC製品については、読者もよくご存じだろう。TL0MKII、TL1X、TL2XMKII、TL51といったCDトランスポート群に、手頃な一体型CDプレーヤーとしてはTL51ZMKIIがあり、いずれもベルトドライブの魅力を味わえる精鋭たちだ。また独自の「CECスーパーリンク」を搭載し、最新の並行転送データ転送技術によってデジタルデータとクロック信号を完全分離して伝送。ジッターゼロレベルまで低減しているのも、見逃せない要素である。

“素のまま”に、すっと出てくる音の輪郭

ほぼすべてのモデルの音を聴いた経験からすると、グレードや価格差はあっても、それを越える共通のアナログ色の濃い表現力が味わえるという点で、駆動法の重要さを再認識した次第だ。たとえばリーズナブルな一体型のTL51ZMKIIはどうか。15万円である。これで同じCDを再生しても、耳慣れたDD駆動の音とは違う。むしろ対象的といっていい。喉の乾きを潤すような女性ボーカルの瑞々しいニュアンスや、ピアノや弦の暖かみのあるナイーブな質感など、思わず聴き惚れるだろう。シャキッと切れ上がったエッジの立ち方……といった点はもの足りなさもあるが、そんな音がお好みならベルトドライブは奨めない。CECはそうしたギミックさとは無縁なのだ。輪郭にクセがなく、“素のまま”にすっと出てくる感触を味わいたい。ディテールの粒立ちも誇張感のないすこぶるナチュラルな内容だ。オーケストラは低重心。かつ低域までよく伸び、浸透するような深みがあるし、時が過ぎるのを忘れるとはこういうことであろう。

最上位機種「TL0MKII」

でき得れば、ベルトドライブ駆動の頂点に立つTL0MKIIの音に一度接して欲しいものだが、実は私もわが家に持ち込んでじっくりと聴いた体験はない。CECの試聴室で眺める本機のプロポーションは、まさに芸術品。3本の支柱で支えられた六角形のメカニカルシャーシとコントロール部、さらに独立したパワーサプライ部は超ド級の迫力だ。スピンドルシャフト径は5ミリφ、スビライザーは何と450グラムにも達する。デジタル出力はSTリンク、XLRにRCAの3本立て。価格は180万円。もちろん受注生産である。こうなると、もう表現のコトバにも窮するような隔絶の世界だ。

今も続くアナログ・マインド

なお、CECにはこのベルト駆動トランスポートとベストマッチングな高性能DAコンバータもラインナップされている。そう、ドイツ人のカルロス・カンダイアス氏の設計による、24ビット/100kHz対応の「タイムコンスタント」デジタルコントロールアンプのDX71MKIIやDX51MKIIIである。これもあわせて、ぜひ試聴の機会を得て欲しいと思う。

さて、CDが生まれて20年が過ぎた。時代はSACDやDVDオーディオといった新メディアに向かおうとも、やはり心の拠り所たる主役の音楽ソースはCDであろう。CECが一貫してこだわるベルトドライブ方式には、そのCD再生における最も大切なものがぎゅっと詰まっている。アナログのマインドだ。あなたが手持ちの愛聴盤から、湧き出すような音楽の情熱、オーディオ再生のパフォーマンスを汲み取りたいのであれば、ぜひベルトドライブプレーヤーに目をむけるべきだ。

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